ama-ama Life

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歌舞伎「黒塚」で涼む

本ばかり読んでいますが、確か歌舞伎にも怪談物ってあったはず。昔、歌舞伎座で怪談物を見たことがあったので、ジャンルとしてあるはず、と図書館のDVDコーナーを探してみたら「黒塚」という怪奇譚らしき作品を発見。
 
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能に「安達原」という演目があって、「黒塚」はその歌舞伎バージョンだそうです。今回、私が見たのは、市川猿之助( 現在は猿翁 ) さんが主演の平成7年に歌舞伎座で収録したものです。二代目市川猿之助が「黒塚」を近代舞踊として表現した歌舞伎舞踏の傑作とされ、澤瀉屋 ( おもだかや ) のお家芸とされている演目だそうです。
 
 
●あらすじ
旅の僧が安達が原を旅しているうちに日が暮れて、そこにあった粗末な小屋に一夜の宿を乞う。その小屋には老婆岩手が一人住んでいて、最初は断っていたが、旅の僧たちが困っているのを見かねて、宿に泊まることを了解し、薪を拾いに出て行く。ただ、奥の部屋は覗かないようにと言い置いて。
 
止められるのも聞かず、供の下男が奥の部屋を覗くと、そこには死体が山積みにされていた。安達が原いったいで、人がさらわれて鬼に食われると
いう噂があった。僧たちが泊まったのは鬼の住処であった。
 
さて、薪を拾いにきた岩手は人を食らわなければ生きていけない己の身の上と仏法の狭間で苦悩していた。
 
やがて、岩手の秘密を知った僧たちは、鬼と対決する。
 
 
 
簡単に言うと、上記のようなお話なのですが、市川猿之助さんが岩手です。おばあさんの役なので岩手の時は白塗りで白っぽいおばあさん風の質素な着物。バックが一面ススキの安達が原を苦悶して踊る姿は見事です。猿之助、といえばスーパー歌舞伎宙乗りばかりしているイメージだったのですが、しっかり地に足付けて踊ります。
 
そして、鬼女に変身 ! 隈取で出てきます。髪は化け物らしく逆立っているし、隈取も怪しげだし見ものですよ ! そしてこのハデハデしい格好で僧たちと対決 !
 
怖いか、というと、怖くありません。むしろ哀しいというか、悲哀たっぷりです。どうも日本の「怖い」は「哀しい」とセットになっているようです。一番怖かったのは、鬼女に変身した後、大きな赤い舌で口の周りを舌なめずりするのですが、顔は白ベースの隈取に赤い大きな舌って、視覚的にすごく怖いですね。そこが一番怖いシーンです。
 
でも、たまにはこういうのも良いですね。能「安達が原」も見てみたいですね。