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甘い生活を目指しています。

群 ようこ 「パンとスープとネコ日和」 最強の女に会う

この夏は、群 ようこさんの小説を立て続けに3冊読みました。群さんの小説は読み始めると後を引くと申しますか、もっと読みたいんですね。
 
まず、最初に読んだのは、妹が図書館から借りてきていたのを生家に帰った時、あまりに暇で手にとってみたら一気に読んでしまった「パンとスープとネコ日和」です。
 
●あらすじ
編集者のアキコは近所のおじさんたちが集う飲食店を経営する母と二人暮しだったが、母の死後、店を改装してサンドイッチとスープだけ出すレストランを始める。スタッフはさわやかで気の利くスポーツ系女子のしまちゃんだけ。ある日、母の知人が訪ねてきて、死んだことになっていた父親の存在を知らされる。
 
 
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かもめ食堂』日本版、みたいな話だな、と思いつつ読みました。常々感じるのは、群さんの描く主人公の女性は、傍から見たら結構大変なことをスンナリ当然という感じでクリアしてしまっていること。50歳を前に、唯一の身内である母親の死、編集者を辞めて料理学校に通い免許を取りお店を始める。そのお店は始めたらずっと毎日続いていくのだし、その苦労もあるでしょう。そういうことをサラサラと水の流れるように行ってしまうのがすごいな、と思います。
 
そして、このヒロインのアキコも、この人の作品に出てくるヒロイン同様、実に淡白でまるで木綿の洗いざらした布のような女。有能なのに「私が、私が」とでしゃばらず、色気を振りまかず、自分のやること、やりたいことを実に淡々とこなしていく女。ある種、最強。
 
群さんの作品のファンは女性が多いと思うのですが、読んでいて共感を覚える普通の人が描かれているからだと思います。情念とか色気ばかりとか野心とか名声とか、そんな言葉は辞書にないようにお話が進んでいき、日常のあれこれにいささか疲れ気味の女性たちを癒してくれる効果があるんだろうなと思うわけです。
読後、ほっこりとした感じと共に、明日また頑張ろうと思えてくる作品でした。
 
アキコの店で出しているボリューム満点の素材にこだわったサンドイッチとスープ、サラダとフルーツのランチを食べてみたくなります。