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笑う神々に会いに行く 「栄西と建仁寺」展

今日は仕事を1時間早引きして、気になっていた「栄西建仁寺」展に、上野の東京国立博物館へ行って来ました。トーハク(東京国立博物館)は金曜日は20:00までなので、出かけてみました。トーハクの入口に到着したのが18:10 、約1時間30分で周り切るか、どきどきしましたが、見逃すよりはと会場を目指しました。

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今回の展示会、栄西建仁寺もなにも知識がないのですが、今回のお目当ては何と言っても、俵屋宗達の「風神雷神図屏風」です。

さて、会場は第一会場、第二会場に分かれています。第一会場では、主に栄西の周りの展示です。栄西は2度の渡宋を経験し、お茶の習慣を禅宗の修行に取り入れ、喫茶を広く広めた僧なのだとか。京都最古の禅寺、建仁寺を建立し、その建仁寺は広く色々な人を受け入れ、学問や文化の東西交流の場になっていたそうです。

第一会場では、栄西直筆の書なども見られます。私が一番面白いと感じたのは、現在でも行われている四頭茶会(よつがしらちゃかい)の空間の再現です。映像で、毎年行われる会の様子が流されているので、どんな行事かがよく分かるのも良いのです。その空間の、何とも言えない特別感が良いのです。真ん中に栄西肖像画、その左右に龍虎の掛け軸。正客が4名、そのお相伴にそれぞれ8名、計32名で行われ、お茶をサーブする僧も4名です。広い空間で大勢でお茶を飲むお茶会です。

第一会場は、あとは建仁寺の歴代のトップの肖像画や木造が並びます。時間が足りないので、私はどんどん前進して、第二会場へ。

第二会場は建仁寺を飾っていた屏風や掛け軸などの美術品のコーナーで、時間が無い美術品好きな方は、第一会場の栄西の直筆の物をチェックしたら、あとはこちらの会場だけでもいい位です。

入ってのっけから海北友松(かいほうゆうしょう)の巨大な襖絵のお部屋です。「竹林七賢人図」「山水図」「花鳥図」「琴棋書画図」「雲龍図」が一堂に会しています。特に「雲龍図」の迫力はすばらしく、ソファにかけてじっくり見たいものです。私は時間が足りない為、そこまでゆっくりしていられず、残念でした。

お寺の襖絵だっただけに、墨絵ですが、場所に合った作品で、しっとりとしつつも軽やかな点もあり、何時間その襖がある部屋にいても苦にならないと思います。

今回の目玉の一つである「雲龍図」は、素晴らしい出来で、墨の濃淡だけで巨大な龍を2体出現させています。「あ」と口を開く右手の龍と、「うん」と口を閉じる左手の龍。左手の龍の背の盛り上がる感じの表す龍の肉体の躍動感や、長い角や鋭い爪の表現の素晴らしさ。右手の龍の口を開いて声を発しているような表情。タッチはかなり太い筆で勢いよく描かれていて、墨に煙る雲の間から龍が睨みを効かせます。

私は龍の絵が好きで、この「雲龍図」のあるお部屋にじっくり入って過ごしたいなと思います。なんだか、心がシャッキリしそうではありませんか。

長谷川等伯伊藤若冲もあります。若冲は、「拾得および鶏図」の3幅の墨絵と、赤い鶏のトサカと花が鮮やかな「雪梅雄鶏図」が、人気を集めていました。等伯はのびのびとした作風の墨で描かれた屏風が何点か出ていました。

どんどん前進、お目当てはなんと最後のお部屋でした。

最後の最後に、今回の大目玉の笑う神々が居りました。いつもながらに、大きく口を開け、空を駆け回り、風をおこし雲を集め、けたたましく、華々しく、私たちをその空間に誘い込みます。金の背景に白い体と緑の体が映えます。画面に使われているのは、赤・緑・白・黒・黄だけ。迫力ある画面ですが、とても華やか。福の神を描いているわけではないのに、福々しく見えるのが不思議です。日本美術の代表作と言っても良いのではないでしょうか。少なくとも代表作の一つではあるでしょう。

実は、この絵を実際に見るのは2度目です。前回はトーハクで開かれた「大琳派展」で、俵屋宗達尾形光琳酒井抱一・鈴木其一の「風神雷神図屏風」が一堂に会するという企画があり、その時に見ているのですが、何度見ても惚れ惚れとする程いい物はいいですね。

最後の展示室だったので、黒山の人だかりとなっていました。

こんな屏風があるお部屋に住みたいです。レプリカでよいので、お部屋に置きたいものです。その為にはまず屏風が置けるスペースのある家が必要ですね。それは、すぐには無理なので、せめてもと絵はがきをギフトコーナーで買ってきました。

5月18日まで、トーハクの常設展で尾形光琳の「風神雷神図屏風」が展示されているので、会期中にそちらも訪れて見たいと思います。

これから行かれる方は時間に余裕を見て、企画展をじっくり回った後、常設展にも足を伸ばすことをお勧め致します。

現在、「栄西建仁寺」展は人出が落ち着いているそうです。本館で開催されている「キトラ古墳」展の方は長蛇の列で、20:00に私が帰る時でも、まだ建物の外に列が出来ていました。

栄西建仁寺」展は、穴場かもしれません。でも、展示品は中々見所があるので、行かれることをお勧め致します。