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お気に入りは ? 「日本国宝展」

やっとトーハクで開催されている「日本国宝展」に今日、行ってきました。とても疲れました。
 
実は、今日は眼科とコンタクト屋さんへ行く為、仕事を2時間はや引きしまして、なんと用事が思いのほか早く終わり、その時点で17:30。「国宝展」の混雑状況をチェックしたところ、「20分待ち」と出ていたので、行って見たのです。
 
建物の外に行列ができていまして、「やっぱり並ぶのか」と思ったものの、実際並んでみると、10分くらいで中に入れました。いつもだとロッカーに荷物を預けて会場に行くのですが、空いているロッカーが無く、仕方なく、荷物を全部持った状態で会場へ。ロッカーが空いていないということは、会場内は混んでいるということですよね。
 

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さて、会場は第1会場、第2会場に分かれていました。第1会場に入った所から、もう混んでいまして、人が動かない。この期間、国宝に認定されている5体の土偶が一挙に公開されるのと、金印が公開されるので、混雑は予想されます。とりあえず、これを見ようと決めたのだけ見られればいいか、という気持ちでがんがん進んでいきます。絵巻とか、人が動かない所はどんどんパス。
 
入ってすぐの所に「玉虫厨子」がありましたが、本体に描かれている絵は薄くてよく見えませんでした。人が多くて近くでじっくり見るということも出来ないし、ただ、「そうか、玉虫厨子って昔教科書に出ていたな」と思いました。国宝なんですね~。
 
とにかく土偶です。もう、とっても土偶です。土偶が展示されている所は混み合っていて、老若男女、熱心に見ています。私は世の中にこんなに土偶愛好家がいるとは思ってもみませんでした。私が楽しみにしていたのは、「縄文の女神」です。放送大学の「日本美術史」の講義をするセットにいつも映り込んでいて、とても気になっていたのです。「縄文の女神」の形態は、下半身がまるでベルボトムのパンツを穿いているような形をしています。三角錐っぽいとでも言えば分かりやすいでしょうか。現代彫刻のようなモダンさを感じさせます。他の、「縄文のビーナス」「仮面の女神」が丸みをおびてどっしりした土着の女という感じの女性像なのに比べると、「縄文の女神」は都会の女という感じです。実物は思ったより背が高く、驚きました。
 
今年、国宝に指定されたばかりの「仮面の女神」とやわらかい曲線の母性を感じさせる「縄文のビーナス」も並んで展示されています。
 
あとの2体は「中空土偶」と「合掌土偶」で、こちらは男性像です。「中空土偶」は顔が作られていて、髭やへその周りの毛らしきものまで表現されています。首から胸の辺りは甲冑の様なものを身に着けているのか、あるいは模様がついているのは刺青なのか。へそから下はズボンのようなものを穿いているようです。「合掌土偶」は体育座りで合掌しています。顔は「キン肉マン」という昔の漫画を彷彿とさせます。いずれにしろ、紀元前3500~5000年にこういうものが作られていたというのは興味深いものです。
 
「金印」は歴史の教科書に出ている「漢委奴国王」が印面に刻まれている後漢の初代皇帝の光武帝が与えたというものです。この印鑑を最前列で見るには行列に並ばなくては成らず、「20分待ちです」と係りの方が言っていましたが、並んでみるとどんどん進み、そんなに待たずに最前列で見られました。えーと、「こんなに小さいものなの !?」と驚きました。歴史の教科書で見ていた限りでは、お弁当箱くらいのサイズかと思っていました。書や絵に押される落款などから、いくらなんでも5cm四方くらいかとも思っていたのですが、実物はゴディバのチョコレート1粒くらいです。小さい。そして異様にキンキン。ガラスケースの中で光っていました。今回の目玉なのに、感動が無い自分にむしろ驚きます。
 
雪舟の「天橋立図」も展示されていました。これ、結構大きい絵なので驚きました。墨一色なのに空気感まで描かれています。残念ながら、人が多すぎて、絵の下のほうは全く見えません。京都国立博物館に収蔵されているものなので、今後、まだ見る機会はあると期待しています。今回は、ちょろっと見た、という感じです。
 
そして、チラシやポスターでも登場している「善財童子立像」。会場ではもう1体の「仏陀波利立像」と共に左右に並んでいます。これ、快慶の作なんですね。快慶といえば、慶派の有名な仏師です。善財童子文殊菩薩がやってくる時に、先に道の前を歩いて、「文殊菩薩がいらっしゃいますよ~」と触れ回って歩く童子なのだとか。文殊菩薩は4人の眷属を持っていて、善財童子仏陀波利はそのチームの一人です。
 
快慶作の「善財童子」ですが、顔は可愛くありません。しかし、その動き、身体の動きに合わせてなびく衣服の様子、文殊菩薩の方を見ているであろう瞳は潤んでいるようにすら見えます。こんなに衣のすそをなびかせている日本の仏像を見たことがありません。顔は後ろを振り返り、両手は合掌、右足は大地を蹴って離れようとしています。顔は可愛くないけれど、彼の一生懸命さのようなものが伝わってきます。日本の立像というのは実に自由な発想で作られているなと思うことがあります。この躍動感、でも仏教彫刻の一体です。
 
この「善財童子」の向かって左に置かれている「仏陀波利」は修行僧なんだろうな、という風貌で、胸のあたりがはだけた衣装、その胸はガリガリであばら骨が全て見えているような体格です。顔は下から見上げるとあごのあたりにボリュームがあり、不敵な面構えです。文殊菩薩のチームはあと2人いるので、きっとその立像もあるのでしょうが、そちらも見てみたいです。
 
あとは、「土佐日記」が意外に小さいサイズの本だなと思ったり、他の国から渡ってきたもので国宝に指定されているものが結構あるなと思ったりしました。
 
「日本国宝展」は「国宝展」というだけあって、どこを見ても全て国宝という展覧会です。何だかよく良からないものから、これも国宝なのかというものまで、色々展示されていて、興味深い展示会になっています。全てをじっくり見るのは大変なので、興味があるものだけ、パッパと見るのがお勧めです。2つの会場をパァ~と見て1時間です。2周目で見そびれた所を見たりして、おみやげ物も見ても1時間30分もあれば済みますので、是非、この機会に行ってみることをお勧めいたします。特に、土偶好きは必見の展示会です。