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等伯の「松林図屏風」を見にトーハクへ

今日は等伯を見にトーハク ( 東京国立博物館 ) へ行きました。

私が一番のよく知っている長谷川等伯の絵はトーハクにある国宝「松林図屏風」です。毎年、この時期限定で、トーハクの国宝展示に登場するので、過去2回は見ているのです。今回、この「松林図屏風」を見るために出掛けました。

実は、今まで長谷川等伯はあまり関心がなかったのです。戦後後期に生きた絵師で、秀吉から「天下一」の称賛を得たと言う事くらいは知っていたのと、狩野派のライバルだったと言う事位は知っていました。

昨年、たまたま京都に非公開文化財特別公開の機会に長谷川等伯と長谷川派の襖絵を間近に見る機会があり、俄然関心が湧いてきました。

そこで、とりあえず、フィクションでもいいので、等伯の生涯をざっと知る事にしました。丁度、「等伯」という小説が出ていたので読みました。その小説をより理解する為に「花鳥の夢」という狩野永徳を描いた小説を先に読むと良いとの事で、そちらも読みました。お陰で、長谷川等伯の生涯や彼の生きた時代背景がよくわかりました。

すると、やはり実物を見たい。簡単に今見られる作品は「松林図屏風」なので、トーハクへ行きました。

今日は休みのせいか、お目当ての絵のある展示室は異様な程混んでいました。墨絵の屏風、しかも愛する長男の久蔵を亡くした後に描かれた作品なので、もっとじっくりと対峙したかったです。

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この屏風は長谷川等伯の最高傑作とも代表作とも言われます。数年前、初めて見た時はすぐには何が描かれているのか分からなかったのですが、しばらく眺めていると、「!」と言う瞬間があり、一度分かってしまうとなるほど、この絵はしみじみと心にし見る様な松林の風景なのです。

近くに寄って見ると、かなり勢いよく描かれていて、その筆の運びに迷いがありません。松の葉も割と太い筆で荒く描かれているのですが、下がって全体を見ると、線の太さや荒さは感じられず、墨の濃淡で描かれた松林が見えます。その間を漂っているのは霧なのか靄なのか、もやっています。奥の方に山も見えます。見ていると松林を渡る風が感じられます。本当は松林を描いたのではなく、風を描いたのでは? 幻想的な光景です。

以前来た時、たまたま私だけしか室内にいない時間があったのですが、そういう環境で見る方が、この絵を見るにはいいと思います。今日はいささか人が多すぎました。

今の時期、トーハクでは「博物館に初もうで 猿の楽園」という展示をやっていて、そちらにも等伯の描いた猿の模写が展示されています。このコーナーの猿の作品はなかなか力作揃いなので、楽しめます。

また、「新春特別公開」ということで、葛飾北斎の浮世絵が展示されていました。しかも、「富嶽三十六景」の中でも有名な「凱風快晴」「山下白雨」「神奈川沖浪裏」が並んでいます。こちらは「松林図屏風」と共に17日までの公開です。

すごく気楽に行ったトーハクですが、とても楽しめました。今までは特別展のついでに常設展示も見たり、パスポートを持っていて行ったりしていたのですが、今回は常設展示の入場券620円で、ここまで楽しめるとは、本当、有難い事です。さらに、黒田清輝の展示も見られるのですが、時間がなくて、そちらはいけませんでした。

今年は何を見せて貰えるかなと、期待しています。