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オランダ時代も興味深い『ゴッホ展』

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今日は随分前にチケットを予約した「ゴッホ展  響きあう魂  ヘレーネとフィンセント」展に東京・上野公園にある東京都美術館に行きました。

この展示会はゴッホの世界最大の個人コレクターヘレーネ・クレラー=ミュラーが初代館長を務めたクレラー=ミュラー美術館のコレクションから選りすぐりのゴッホの油彩28点、素描と版画20点を展示しゴッホの初期から晩年までの画業を辿りるものです。同時の画家20点、ファン・ゴッホ美術館から4点を展示し、ゴッホの人気が高まっていく背景にも注目したものです。

全72点を見て回るのに2時間5分かかりました。

展示構成は以下の通り。

1  芸術に魅せられて : ヘレーネ・クレラー=ミュラー、収集家、クレラー=ミュラー美術館の創立者

2  ヘレーネの愛した芸術家たち :  写実主義からキュビスムまで

3  ファン・ゴッホを収集する

3-1  素描家ファン・ゴッホ、オランダ時代

3-2  画家ファン・ゴッホ、オランダ時代

3-3  画家ファン・ゴッホ、フランス時代

3-3-1  パリ

特別出品  ファン・ゴッホ美術館のファン・ゴッホ家コレクション  :  オランダにあるもう一つの素晴らしいコレクション

3-3-2  アルル

3-3-3  サン=レミとオーヴェール=シュル=オワーズ

 

ゴッホの展示会にはある都度行っていて、かなりの点数を見ているので、見た事のある作品もありました。今回私が凄いなと思ったのがオランダ時代の素描で、「コーヒーを飲む老人」「読書する老人」「祈り」「防水帽を被った漁師の顔」「籠に腰掛けて嘆く女」の5点と「スヘーフェニンゲンの魚干し小屋」という風景画。5点の人物の素描はどれも素晴らしく、描かれている人の人生が滲み出ているような出来です。特に気に入ったのが「防水帽を被った漁師の顔」。ゴッホってこういうのも描いていたのかと改めて思いました。「スヘーフェニンゲンの魚干し小屋」は本の挿絵にあるようなタッチで、よく出来ています。嫌味が無く、その土地の生活を上手に描写していて、これも素晴らしい。ゴッホというと後年のパリ以降のポップな色の作品を思い浮かべる事が多いと思いますが、パリ以前の時代があり、タッチは全く違うものの、かなり力を入れて制作していた様子が興味深いです。その時その時で関心を持った技法、手法を取り入れてどんどんと絵のタッチが変わって行ったゴッホ。その変化を見るのも楽しいです。

真ん中に2本の糸杉、左に太陽なのか満月なのか丸く輝く光、右に三日月が描かれた「夜のプロヴァンスの田舎道」。糸杉の手前を肩を並べて何か話しながら歩いて来る2人は農夫でしょうか。きっとゴッホは自分とテオを描いたんだろうなと想像します。空はぐるぐると大気が渦を巻いている様な線がビッシリと描き込まれています。今回の展示会のポスターやチラシになっているこの絵は多分今回の見所の一つです。同じ糸杉を描いた作品なのに、メトロポリタン美術館にある「糸杉」とは大分違います。こちらの方がもっとのびのびとしているというか、楽しそうというか。メトロポリタン美術館の「糸杉」からは情念の様なものを強烈に感じたのですが、こちらの「夜のプロヴァンスの田舎道」にはそれは感じません。不思議な絵ですが安心して見られます。

特別出品のファン・ゴッホ美術館のお話にも驚きました。ゴッホ亡き後、弟テオの妻がゴッホの作品を世界に認知させようと努力した結果、ゴッホは徐々に注目され、ある時大ブレイクするわけですが、テオの妻亡き後、テオの息子がその仕事とゴッホの残された絵を受け継ぐのですが、作品の散逸を防ぐべく、それまで買われた作品を買い戻しファン・ゴッホ美術館所蔵としたそうなのです。なんか、凄い話です。

展示数自体はそんなに多くはないのですが、楽しく興味深い展示会でした。お土産コーナーが物凄く充実しています。私はいつもはお土産は絵葉書を買うくらいなのですが、今回、糸杉モチーフのご朱印帳を買ってしまいました。

ゴッホに詳しい方も初心者も楽しめる展示会だと思いますので、おススメです。

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