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里帰りした絵巻を見る『芸術 × 力 ボストン美術館展』

本日、雨の中、東京都美術館で開催中の「芸術 × 力  ボストン美術館展」に行きました。10月2日までと会期が迫っているため、行ける時に行かないと、と言うわけです。

台風の影響で強風だったり降ったり晴れたりの天候不順のせいか、流石に空いていました。むしろよく見られて良かった。

この展覧会は古今東西の権力者がいかに芸術の力を利用してきたかを見ていくものです。日本のみならず、エジプト、ヨーロッパ、インド、中国などのコレクションが56点展示。特に、今回、日本にあれば国宝級とされる絵巻2作品が里帰りするのが話題です。

展覧会構成は下記の通り。

1. 姿を見せる、力を示す

2. 聖なる世界

3. 宮廷のくらし

4. 貢ぐ、与える

5. たしなむ、はぐくむ

 

目玉の『吉備大臣入唐絵巻』は遣唐使として2度唐に渡った吉備真備が活躍する物語です。先に「日曜美術館」で予習をしていたので、物語の内容も知っており、巻物の絵を眺めるだけだったので、なにやら本物はどうかの確認作業のようでした。今の時代だと荒唐無稽な物語が展開される絵巻といったところか。

平治物語絵巻 』は、見所満載の絵巻です。タッチは漫画っぽいのですが、渦巻く炎の描写や、驚いて駆けつけた殿上人の牛車のラッシュの模様、その脇を長い弓を手に駆けていく武士たち。殺されてしまったのか血を流す御殿の女御、部屋の隅に隠れる女御、転んでいる武士、大将らしい黒い馬に乗る武将・・・と、どこをとっても丁寧に描き込まれていて、見ていて飽きません。臨場感すら感じられるシーンもあり、これは確かに素晴らしい。

この展覧会では力と美術品がいかに結びついたかを見て行く為、突然キリスト教圏の絵画が出てきたり、中国の焼き物が出てきたり、あれこれカバーしています。

ただ、せっかくボストン美術館なら、「芸術 × 力」という切り口にしろ、日本の美術品に絞っても良かったのでは、と思います。ボストン美術館の日本の美術品のコレクションは有名で、過去に開催した日本関係の展覧会でも素晴らしい作品の数々を見た記憶があります。対象を世界に広げることで、展示内容が薄くなっている感が否めません。

私としてはちょっと残念な展覧会でした。

とは言え、『平治物語絵巻』は見て損はない作品で、今回実物を見られたのは良かったです。

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