本日も18:30会場、19:00開演の予定だったのですが、リハーサルが終わらないということで、会場自体が遅れ、リサイタルが始まったのは19:15でした。ポップスやロックのコンサートでは、30分遅れとか、普通と言う感じですが、クラシックでは初めて。そんなことってあるんだ、と思いました。18:45くらいには、ロビーにのみ入れますということで、開場されたのですが、近くに居た二人連れの会話で「起きてすぐに弾くってわけにはいかないのかね ? 」「そういうものでもないのでは」というようなやり取りや、このまま中止になるのかも、という声まであり、結構開場が遅れたことで心配していた観客も多かったと思います。
さて、始まってみれば、なんとも素晴らしい演奏でした。演目は当初予定していたものと変更になりました、とのこと。本日のリサイタルにはパンフレットすらなく、曲目としてA4の白い用紙に刷られた曲目表が配られたのみです。リーフレット状のものを持っている方も多々いたので、休憩中に係りの方に尋ねたところ、今回はA4の紙1枚のみで、有料のリーフレットがあったが完売したとのこと。
演目は以下の通りです。
ドビュッシー : 版画
1. パゴタ
2. グラナダの夕べ
3. 雨の庭
2. 帆
12. 吟遊詩人
6. 雪の上の足跡
8. 亜麻色の髪の乙女
10. 沈める寺
7. 西風の見たもの
第1番 ロ短調
第2番 ニ短調
第8番 変ホ短調
今回、初めてツィメルマンというピアニストの演奏を聴いたのですが、音が柔らかく軽やかなのです。素人の感想なので、あまりアテにはならないのですが、鍵盤の上を走る手は、まるでそこだけが別の生き物を2匹飼っているようですらあります。楽器というものが、演奏する人によってこうも違う音色で謳うのか、とつくづく感じさせられました。
全体的に、ピアノの音色からまるで印象派の絵が現れてくるようなイメージを受けました。とくに、モネとルノワールなのです。1曲目のドビュッシーの「版画」の「パゴダでは、途方も無く水のイメージが湧いてきました。それがモネの描く水の絵と似たイメージで私に迫ってきました。「雨の庭」では、やはり水のイメージですが、こちらは別のもっとアジア的な庭が見えました。ドビュッシーの「前奏曲集 第1集より」の「亜麻色の髪の乙女」では、淡い色彩のルノワールの描く少女の横顔というより、こちらを振り向こうとしている斜めの顔が見えます。なんだか、そんな感じでとめどなくイメージわ喚起させられました。
総体的にロマンティックな曲が多く、うっとりと聞きほれて、演奏の中に埋没してしまいそうでした。「ドビュッシーって、こうだっけ ? 」と思わず自分の記憶に問いかけました。私はドビュッシーを今まで知らなさ過ぎたと思います。
アンコールの演奏はありませんでした。リサイタル後、ロビーを通る際に、よくツィメルマンのリサイタルに足を運んでいるらしい方が同行の方に話しているのが聞こえたのですが、「最近はアンコールはやらないらしいよ」とのことでした。「今日は、あまり指が動いていなかったようだ」とも言っていました。へぇ、そうなんだ。それにしても良かったです。次回も機会があったら、聞きに行こうと思いました。次回は予習して行きます。