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日本初の「ラファエロ展」 混んでます

昨日より上野の国立西洋美術館で公開が始まった「ラファエロ展」へ本日、早速行って来ました。昨日、本日と先着1483名にチケットホルダープレゼントとあったので、あまり期待もせず、それでも混んでしまう前にと午前中に出かけました。
 
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私が美術館に到着したのが10:15位だったのですが、チケットホルダーを頂きました。これは紙製で、今回のちらしに使われているのと同じ「R」がくりぬかれているデザインです。これにチケットを挟むと、チラシと同じになるって事ですね。
 
さて、「ラファエロ展」というのは日本で初めてなのだそうです。えっ ! という感じですが、そう言われれば今まで見に行ったことがない。大きな美術館の展覧会だと、目玉として何枚かラファエロを持ってくることがあるせいか、見た気になっているのかも知れません。それと、イタリア、特にローマとフィレンツェの美術館では、ラファエロは絶対結構な枚数お目に掛かるので、それで見た気になっているのかも。特にフィレンツェのパラティアーノ美術館はラファエロのコレクションが充実していたはずです。今回、ヨーロッパのあっちこっちの美術館から20点あまりを借りてきたらしく、さらに同時代の画家の作品とか、影響を与えた画家や影響を受けた作品などを一同に展示した、という展覧会になっています。
 
構成は下記の通りです。
Ⅰ 画家への一歩
Ⅲ ローマのラファエロ  教皇をとりこにした美
Ⅳ ラファエロの後継者たち
 
入り口を入ってすぐにラファエロの自画像があります。最初のコーナーの一番初めにラファエロの父の作品が。ラファエロのお父さんって宮廷画家だったんですって ! なるほど、息子は同じ道を志したわけですね。お父さんの作品は、その前の時代の人らしい作風です。そして、子は親を超えましたね。このコーナーのラファエロの作風は、まだ私たちが「ラファエロだよね」と思う様な作風ではなく、それ以前で、やはりなんとなく師匠と言われているペルジーノに似ているようです。ちょっとリッピやボッティチェッリ風かなと思われる「天使」もあったり、まだお勉強中、の感が強いです。「アッシジの聖フランチェスコ」「パドヴァの聖アントニウス」という2枚の絵はサイズが小さく、描かれているのも質素なグレーの僧衣を纏っている聖人でバックも単色に塗られているのですが、本の表紙にしたりしたら素敵なのでは、と思わせる作風。「おおっ!」というものではないのですが、ちょっといい感じです。
 
フィレンツェラファエロ」というコーナーでは、ダ・ヴィンチミケランジェロの作風を吸収して、いよいよ「ラファエロ」らしさが出ています。「無口な女」はダ・ヴィンチの「モナ・リザ」とそっくり。もっともモデルがもっと地味で不美人なので、作風も「モナ・リザ」よりもずっと地味に見えます。ラファエロの作品で「モナ・リザ」とそっくりのポーズを取っている「一角獣を抱く貴婦人」と言う作品を見たことがありますが、そちらの方が目を引く作品です。
 
私は以前から不思議に思っていたことがあって、多分貴族に注文されてその奥さんとか娘を描いたものなんだと思うのですが、ラファエロの女性の肖像画には不美人を描いた作品が多いように思うのです。もっとも時代によって美の基準は変わるものなので、一概に不美人と決め付けてしまうのはいけないとは思うし、注文の肖像画であれば、2割り方、実物よりは美しく描いているんだろうなとは思うのですが、それにしても不美人の肖像画が多い。一方、モデルは自分で決めたんだろうな、と思われるものは美人の肖像画もあって、別に好き好んで不美人の肖像画を描いていたわけでもないんだな、という事が分かります。恋人であったとされるパン屋の娘をモデルにしたらしい、と言われる作品では、描かれているマリアは美しく愛らしいくらいです。
 
私は、その画家が後に万民にその画家であると判別できる画風に移り変わる、言わばいかにしてその画家になったかが分かるような過渡期を見るのが楽しいのですが、ラファエロの場合はフィレンツェダ・ヴィンチミケランジェロを知る事によって、その後の作風に変化が出て、「ラファエロ」になったのだと考えています。
 
ま、気を取り直して。今回、肖像画は男性の肖像画が大半です。そして、このコーナーの肖像画は「モナ・リザ」と同じようなポーズをとっており、ラファエロが描く肖像画らしく、なんとなくのっぺりしていて、ああラファエロね、という安心感があるのが面白い。この辺りから、聖母子を描いたものが増えてきます。後に「聖母の画家」と言われたラファエロらしくなってきます。
 
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そして今回の目玉である「大公の聖母」です。実は私、この絵を見るのは2度目です。先に、フィレンツェのパラティーナ美術館で見ていました。その時は、ラファエロのコレクションの部屋で、これでもかこれでもかと聖母子像を何枚も見ていて、この作品もその時にみたのですが、バックが黒いのよね、という印象でした。その時は、同じ部屋にあった丸い絵「小椅子の聖母」が気に入って、そちらにどっぷりだったのです。今回、じっくり見てみると、聖母のお顔がいいですね。なんとも穏やかな、まるで内側から発光しているような優しい光を感じさせる表情です。バックの黒は後の時代に塗られたそうです。この作品を見ていると穏やかな気分になってきます。
 
「ローマのラファエロ」のコーナーでは、版画の「パリスの審判」に驚きました。聞いてはいたものの、「パリスの審判」の右半分の人物の構図はマネがそっくり「草上の昼食」で使っていました。「友人のいる自画像」は、ラファエロともう一人の男性が描かれているのですが、いきいきとしていて、それまでののっぺりとした肖像画とは違って興味深い作品です。ラファエロもこういうのを描くんだ、という感じです。「ベルナルド・ドヴィーツィ枢機卿の肖像」もいい出来で、いきいきしています。
 
ラファエロの後継者たち」のコーナーでは、ラファエロの死後、工房を盛りたてた一人であるとされるジュリオ・ロマーノの作品も見られます。本人は亡くなっても、影響はあるものですね。
 
展示数が少ないので、展示物だけ見る分にはどんどん見終わってしまうのですが、とにかく混んでいます。入場制限した方が良いのでは、と思うくらい混んでいます。正直言って、四角い絵が四角い状態で1枚も見られない、というのは混みすぎ。一般公開の後の時間に見られるプレミアムチケットが完売なのも納得です。なんか、とにかく人が多すぎて見た気がしない展覧会でした。これは、やはり現地でじっくり見るしかないなと思います。楽しみにしていただけに残念でした。平日だったら、こんなに混まないのかしら、とも思います。それにしても、混雑を想定して、美術館側でもなにか対応策を考えてもらいたいものです。