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世界の今を見に行く 「長倉洋海写真展 その先の世界へ」

今日は「長倉洋海写真展 その先の世界へ」を見る為、吉祥寺の武蔵野市立吉祥寺美術館へ行ってきました。吉祥寺に行くのは、なんとも15年ぶりくらいです。いつの間にか吉祥寺美術館というのが出来ていて驚くと共に、初めてお邪魔する美術館にどきどき。
 

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さて、吉祥寺美術館は商業施設のビルの7階に入っていました。そして、お土産コーナー、音楽室の他にメインの展示室、ここで今回の写真展をやっていました。それ以外に、小さめの展示室が2つあり、それぞれで版画の展示会をやっていて、こちらも同時に見ることが出来ます。
 
写真展は、美術館を入って受付のすぐ後ろから展示が続いていて、メインの部屋の中に入っていきます。約80点あるそうです。世界各国の人々を撮った作品が並んでいます。本日の14:00からご本人によるギャラリートークがあるということで、先にグルッと見てしまってから、トークが始まるのを待ちました。ご本人のギャラリートークによると、報道では主に戦闘地が取材されて報道として知らされているが、戦闘を実際に行っているところだけに戦争があるわけではなく、その周辺の人々を取材することでも戦争の無残さや周りの人々の悲しみが伝わってくるので、周辺取材を主にしているとのこと。確かに、派手なドンパチの現場の写真はありませんが、国を追われたシリア人の女性たちの不安そうな表情や、戦闘で家族を失った女性があの世でその人がいい所にいけるようにと祈る姿など、見ているこちらの胸をぐっとつかむような表情が切り取られています。
 
更に、過酷な環境で働くエメラルド鉱山の労働者たちの姿や、勇壮な馬に乗って行われるアフガンの競技ブズカシ、パプアニューギニアのお祭りの様子など。
 
子牛か山羊を取り合うアフガンの競技ブズカシは、馬に乗って棒の様なものでボールを取り合うポロという競技にそっくりだな、と思っていたら、ちょっと調べたところ、ブズカシがポロの起源なのだとか。ギャラリートークによると、アフガンでは相手チームの選手にムチを打ってはいけない、負けた相手に敬意を払うなどの特徴があり、ブズカシで勝つことはとても名誉なことなのだそうです。その写真は、まるで一服の絵の様で、よくもまあ、こんな素晴らしいショットを撮ったものだと感心しました。何かとよく似ている感じだな、と思ったのは、ダ・ヴィンチの「アンギアーリの戦い」と似た感じを受けていたのです。後で「アンギアーリの戦い」の画像を見てみたら、馬に乗った騎士が闘っているというだけで、実はぜんぜん違ったのですが、なんというか見た瞬間のイメージがそっくり。この写真は、構図も良いのですが色も良くて、メインになっている選手は赤い衣装で真ん中に居て、その右後ろに緑色の旗が見えます。その赤い衣装の人の髪型とか帽子の感じとか、横顔とか、昔の絵画に描かれたイスラム圏の人にそっくりな感じで、いい被写体だなと思います。
 
パプアニューギニアの祭りのダンスは、最初、アフリカのどこかの部族かと思ってみていました。似たような衣装とダンスの部族は確かアフリカにも居たような。よく見たらパプアニューギニアだったので、むしろ驚きました。祭りの準備をせかされて涙する少年が持っている仮面は、なんと先日国宝として見た土偶に顔がそっくり。パプアニューギニアと日本の古代が繋がってしまいました。チャドの遊牧民の祭りでは、男たちが女に選ばれるべく化粧をし、着飾り、ダンスをして自分をアピール。アジアのどこかにも、男性が女性に選ばれるべく同じような習慣がある所があったような。
 
世界とは不思議なもので、距離は離れていてもそっくりだったり似ているような祭りや行事や習慣があるものですね。
 
トークの最後に長倉さんが「実際に旅に出てみないと分からないこともある。実際に旅に出て色々見て感じると人間として深みが出てくる」というようなことを仰っていて、ギャラリートーク参加者は皆かなり同意していました。
 
写真展に行くのは楽しいからですが、自分が見られない風景を見せ、知りえない人々の姿を切り取って見せてくれることで、こちらも同じように追体験できたり、知らなかったことを知ったり、問題提起されて、それについてしばし考えたり出来るのが良いのです。
 
今回も素晴らしい写真展をありがとうございました。この写真展は6月28日( 日 )まで開催中です。入場料は100円、まだまだ盛りだくさんのイベントがありますので、覘いてみることをお勧めいたします。見るだけなら、あまり時間はかかりません。
 
さらに、別室で開催中の2つの版画展も面白く、ほっこりできます。
 
吉祥寺美術館に掘り出し物を掘り出しに行かれてはいかがでしょうか。