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三浦春馬 『日本製』を読む

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2週間前の6月5日に図書館に行った際に見かけた手に取ったのが、昨年30歳で亡くなった俳優の三浦春馬さんの『日本製』という本です。

あれっ、こんなの出ているんだ、と特に三浦春馬さんのファンと言うわけではないものの、気軽に読み始めました。

これは4年に渡り全日本47都道府県を訪ねて、日本製にこだわって伝統芸能、工芸品、食、芸能、最新技術などに携わっている人々や組織をレポートしたもので、取材はレポーターとしての三浦春馬、スタッフはライター、カメラマン、編集者の本来のレポートの他にその土地を訪ねた旅行こぼれ話的な「裏・日本製」、1冊の本として纏められた際に各レポートに足された三浦春馬本人のコラム「三浦春馬が考える『未来』『継承』」、巻末の「三浦春馬ロングインタビュー」、三浦春馬の撮り下ろし写真と盛りだくさんの407ページもあるズッシリとした1冊。本編レポート自体、その場所を訪ねた際の三浦春馬の様々な表情を捉えており、4年間の彼の変化が見て取れ興味深いものがあります。人って4年でこんなに顔が変わるんだなと。それと共に、彼の人柄も伝わり、取材先の方々と楽しそうに談笑する姿や、人懐っこい素顔がのぞきます。

この本は2015年12月から2019年10月まで雑誌に掲載され、2020年4月5日の三浦春馬の誕生日に発行されたものなのです。この三浦春馬さんにはやらされ感がなく、自ら取材先の提案をしたりしているので、かなり楽しんで取り組んでいた仕事なのだろうと思われます。26歳から29歳の4年間、まだ少年の面影さえ感じられる笑顔から、最後の方はかなりしっかりした大人になったような変化が見て取れ、彼の中で精神的な変化変容成長があったのでしょう。キラキラした笑顔はそのままに、大人のしっとり感があります。

この本はいわゆるタレント本とは一線を画すものです。対象の人々や地域についてきちんとお話を伝えてくれて、その産業や地域に関心を持てるようになりました。日本にはまだまだ素晴らしい産業や場所がある事を、読者に知らせてくれます。

ただ残念なのは、書籍に再編集した際なのか元々の雑誌の時からなのか、写真に工夫が足りない点。三浦春馬ファンを喜ばせるべく彼ばかりの写真が多く、その時話題にしている製品や対談している人の写真がないレポートもあり、読んでいて「ここでこの写真があれば」という事が結構ある点です。その辺は編集サイドと事務所のお話し合いなのでしょうが、ここまで三浦春馬の写真ばかりでない方が本編のレポートは引き立つのにと、その点が残念です。

とは言え、1県分の長さも読みやすく、現在の日本について、未来についてなど、私たち一般人に考えさせてくれる良い本となっています。

これを読むと1冊で4年ですから、2周目3周目の『日本製』も読みたかったです。三浦春馬さんはNHKの『世界はほしいモノにあふれてる』も良い仕事をしていますが、この本でも良い仕事をしていて、彼が真面目な優しい人なのが分かりますし、キラキラとした笑顔だけでなく、好奇心が旺盛な熱意のある人なのも分かります。彼の30歳の誕生日に発行されたことからも、彼が30歳の節目を大切に考えていたのだろうことが伺え、そう思うとその後の急死が残念でなりません。

彼のファンだけでなく、日本の今に関心がある人にも読んでいただきたい一冊です。