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幸せな時間を過ごせる「生誕100年 山下清展 百年目の大回想」

台風が接近中。午前中土砂降りでしたが11時頃に小雨になったので眼科へ行ったところ、なんと夏季休暇!「3ヶ月後に来るように」と言われていたのでその通りにしたのに、なんてこと!

そんなわけで、台風が心配でしたが、逆に空いているかもと新宿のsompo 美術館で10日(日)まで開催中の「生誕100年 山下清展  百年目の大回想」に行きました。

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会期があと3日だったので、直接行って当日券を買いました。当日券購入には行列ができており、10分くらい並びました。台風なのに結構人が出ています。

ドラマ「裸の大将放浪記」で有名な山下清 氏ですが、実はドラマを見たこともなく、また氏の作品の実物も見たことがありませんでした。日本全国的に氏の美術館はあるようなのですが、中々足を運ぶ機会がありません。今回、タイミングよく回顧展です。

構成は以下の通り。

第1章  山下清の誕生  昆虫そして絵との出会い

● 画家・山下清の誕生

山下清と昆虫

第2章  学園生活と放浪への旅立ち

● 学園での日々

● 創作の礎となった静物

● 放浪へと駆り立てた戦争

● 放浪へ

● 放浪期の貼絵

● 「放浪を辞める誓い」

第3章  画家・山下清のはじまり  多彩な芸術への試み

● 油彩への挑戦

● ペン画  点と線の芸術

● 進化する貼絵

第4章  ヨーロッパにて  清がみた風景

● ヨーロッパ風景・貼絵

● ヨーロッパ風景・水彩画とペン画

● ヨーロッパ風景・陶磁器

第5章  円熟期の創作活動

● 才能が開花した陶磁器

● 清が愛した富士山

● 遺作・東海道五十三次

収蔵品コーナー

 

企画展だけで191展、収蔵品コーナー3点が見られます。

山下清という人は、その才能が見出されたのが割と早い時期だったのに驚きました。若い頃、ずっと放浪していたかというと、放浪した先で留まって仕事をして過ごしていたこともあるようで、ドラマとは随分と違うようです。見たことがないドラマなのに情報が入っているので、ずっと旅をしているのかと思っていました。吃音がひどく、子供の頃からいじめられていたり、学業が振るわず、通常の学校ではなく、障害を持った人の学園に行った事で、運命が大きく変わったのは凄い。その学園での授業で貼絵があり、それが貼絵との出会いとなったのだとか。山下清と言えば、貼絵とペン画と言うイメージですが、その貼絵もこの展覧会では初期の頃のものから、どんどん上達して遂には傑作を作り上げ、「天才少年現る」と話題になった頃の作品、更にその先の年代のものなど、見所満載です。代表作と言われる「長岡の花火」、有名画家となった後に訪れたヨーロッパでの作品「ロンドンのタワーブリッジ」など、驚嘆するような出来栄えです。貼絵の可能性を大きく塗り替えた人なのではと思います。どうやって作ったのか、本当に不思議です。「長岡の花火」は打ち上げられた花火の表現だけでなく、水面に映り込む花火、それを見物する為に集まっている群衆まで表現されています。こんなの見たことがない!

署名までこよりを使った貼絵になっていて、徹底しています。こよりで署名なんてのも初めて見ました。

「練兵場へ遠足」は遠足に行った人々それぞれの顔がきちんと貼絵で表現されている凄さ、「自分の顔」では皺などまで貼絵で描かれています。

山下清 氏はその場で作品を作っていたイメージを皆持っているようですが、実際には旅先で作ることはなく、帰郷してから作品を作っていたそうです。1度見た風景は忘れることがないのだとか。その為、何年も前の風景の記憶から同じものが作れるのだそうです。

貼絵で評価されて、文具会社から沢山のサインペンを贈られたのがペン画を描き始めたきっかけなのだそうです。それにしては素晴らしい出来栄えに舌を巻きます。思い切りよく線を引き、根気よく点描を打って出来上がったペン画は独特な作風で、ポップです。この展覧会ではペン画も沢山見られて嬉しい限り。

数は少ないものの水彩画、油彩画、陶磁器への絵付け作品、版画までカバーされていて2時間は十分かかりますが、とにかく幸せな2時間を過ごせました。


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お土産コーナーで、珍しい油彩画の「群鶏図」と貼絵の「ロンドンのタワーブリッジ」を購入しました。「群鶏図」は若冲を意識した構図なのか、色が鮮やかでポップな仕上がりで面白い作品です。「ロンドンのタワーブリッジ」は印象派の油彩画のように見える仕上がりです。

この展覧会は巡回展で、昨年より始まり既に兵庫・長野・滋賀で公開されて、今回の東京の後は宮崎・愛媛・佐賀と回っていきます。今回、東京で見逃してしまった方、まだ3箇所で見られるチャンスがあるので、ぜひ見に行っていただきたい。そのくらい幸せな時間を約束してくれる展覧会ですので、おススメ致します。

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