保存状態の比較も面白く、色が全然違うのにはびっくり。また、版を重ねた方なのでしょうか、髪の線とか、着物のがらとか、線が薄れていたりする方があるのです。
もちろん版元も入れて、です。
第二会場はさらにすごかった。写楽の活動期間は10ヶ月。作品数は148図、うち142図が一同に展示されています。 ( 数が違っていたらごめんなさい ) 今回、出展できなかった作品の1図は山種美術館にて公開中のため、とあり確かに先日見たことがある作品の写真が飾られていました。行方不明のものもあります。
そして、写楽の作品の大半が歌舞伎のシーンを描いたものであることから、どんなお話なのかの解説付きです。
大首絵で有名な江戸兵衛と奴一平のシーンなどは、映像でも確認でき、なるほどこういうシーンの一瞬を描いたのか、と納得できるのも楽しい試みです。浮世絵の展示会はあっちこっち行っているものの、どういうお芝居なのか解説があったり、映像で同じシーンを見られたり、というのは初めてです。気が利いています。
それにしても、やはり写楽は第一期の役者大首絵がいいですね。一度見たら忘れられない。今で言うブロマイドのようなものだったのでしょうから、役者には不評だったのも分かります。写楽の描く女形は女装した男みたいに見えるし、み得をきった瞬間を描いている物は寄り目でへの字口だし、きれいで華やかな歌舞伎の場面というよりは、漫画のような風情だし。
外国の美術館に随分収蔵されているようで、浮世絵を初めて見る人がこれを見たら、浮世絵ってこういうものか、と絶対思い込んでしまいそうなほどのインパクトです。
展示作品数が多く、これでもかこれでもかという感じです。でもすごい充実感です。年配の方も多いのですが、外国人の方の姿も、他の展示会より多かったように感じました。