ama-ama Life

甘い生活を目指しています。

釣堀で鱒を釣る

「釣りに行きてぇなぁ~」
ある日父がつぶやきました。
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父の趣味は釣りで、海なし県の埼玉県で川や渓流で釣りをしていました。毎年、正月には家族に新年の挨拶をするより先に川へ行き、魚に挨拶するほど。
 
父は2007年12月5日にくも膜下出血で倒れて救急車で病院に運ばれ、手術をし、一命を取り留めたものの、長い間寝たきりで車椅子になってしまいました。釣りにはもう丸4年行っていないことになります。
 
じゃ、釣りに行ってみましょ、ということで、車椅子だし、このところめっきり集中力がなく飽きっぽい父と行ける釣り場を考えて、釣堀に行くことにしました。当初の計画では紅葉で有名な公園でお弁当を食べて、
その近くの釣堀へ行く予定でした。しかし、片道車で約1時間。釣りを2イメージ 3
時間しても半日はかかります。大丈夫かな・・・。途中で帰るとか言われ
ても困るし・・・、じゃ、もっと近場でもよいのでは、と言う事で探したら、父がお世話になっているホームから車で約20分の所に釣堀を発見。釣堀に問い合わせたところ、車椅子でも大丈夫とのこと。いつも外出時にお世話になっている介護タクシーも予約でき、行ってきました。
 
本日、父・妹・私が行ったのは、埼玉県本庄市児玉にある「元田養鱒場」という釣堀です。ここは鱒を釣ります。
平らな地形の埼玉ですが、遠くに見えていた山がかなり近くに見えるあたりに有ります。介護タクシーのドライバーさんが、事前に場所を調べてくれていたにも関わらず、途中迷子になり、ドライバーさんが地元の人に聞きに行ってくれ、見落としそうな細い道を分け入った所にあります。表示板が出ているのですが、うっかりしていると見落としてしまうかも。知る人ぞ知る、という感じです。
 
釣堀が4つあり、到着した10:40頃には、餌釣りではないほうは何人も釣っている人がいました。
 
付き添いである私と妹は釣りをしたことがなく、とりあえず餌釣りをすることに。釣竿は300円で借りられ、餌のイクラは500円で購入。餌釣りをする人は1時間2000円で8尾まで持ち帰れます。それ以上釣った場合は量り売りです。餌釣りの釣堀は私たちだけで、貸切状態でした。
 
釣堀の方が、竿、網、バケツ、餌のイクラ、針をはずす道具を持ってきてくれて、イクラの付け方を教えてくれ、早速釣りをスタート。今日は風が無いところで、日当たりがよい所だとポカポカとして暖かく、厚着をしてきたのでちっともイメージ 2寒くありませんでした。
 
最初、日陰の方が魚が集まっているということで、日陰に移動したものの、日差しの影響で人影が水面にできてしまうということで、まだしも日向の方がよいのでは、ということで日向に。餌を投げ込んですぐに、1尾がかかり、吊り上げました。妹が網ですくい、「とったどー!!」という感じです。なんだか沢山釣れそうな予感。
 
針を鱒の口から外そうと、まず妹が、そして私が、それでも外れず、ついに父が試してみました。釣堀の人には「針を外す時には呼んで下さいね。外し方教えますね」と言われていたのに、父は何十年も釣りをやっているので大丈夫だろうと思ったのが間違いでした。父は、久しぶり
の釣りで手が震えてしまうのか、上手に鱒がつかめないし、三人がかりイメージ 4
で四苦八苦しても外れず、結局釣堀の人を呼んできて、外し方を教わりました。実際、釣堀の人が外してくれました。
 
よし、次釣るぞ、とイクラを針につけて、しばらく釣竿を持っていたものの、動けないし、魚が掛からないしで、父からどの辺りに魚が居るのか釣堀の周りを一回りしてみて来いとの指令が。一回りしてみると、真ん中辺に集まっているようで、時々パシャッとはねるのです。
 
30分くらいで、すでに父は飽きてしまったようで、妹が釣竿担当に。再び父から一回りして来いとの指令で今度は妹が偵察に。そうこうしているうちに2尾目が釣れました。今度は私が網ですくい、「とったどー!!」です。不思議なもので魚が釣れると大きさに関わらず、本当に「とったどー!!」と言いたくなるものです。すごく嬉しい。
 
日陰の方へ移動しようということで移動。移動したにも関わらずそれから釣れません。また、日当たりのいい方へ戻ってひたすら糸をたれていると、他の池で釣っていた人が見に来たり。釣堀の人が釣り方の指導に来てくれまして、介護タクシーのお迎えの時間になってもまだ私たちは釣っている始末。父はもう帰りたいようでした。昨日雨が降ったので、いつもはもっとにごっている池が澄んでいるので魚が警戒しているのであろうとのことです。確かに、こちらから魚が泳いでいるのが分かるくらい、水が澄んでいました。
 
結局、私たちの収穫は20cmくらいの鱒が2尾でした。釣堀の人が手際よくさばいて内臓を抜いたものをレジ袋に入れてくれました。その手際のよさは鱒もびっくりというすばやさ。今まで生きてバケツの中をゆらゆら泳いでいたのに、あっという間にお腹をさかれ内蔵を取られてしまったわけですから。鱒としては「あら~」ってなもんでしょう。
 
さて、帰り道はドライバーさんが景色のいい所を通ってくれて、無事お昼ごはんまでにホームに帰還。釣堀の近くに、桜並木で有名な場所があるとかで、ドライバーさんが通ってくれたのですが、春は素晴らしいだろうと思わせるほど。「桜の頃にまた来たいよね」と言ったら「また、来るよ」と父が力強く応えていました。30分で飽きていたのに、また行きたいらしいです。
 
父が楽しかったかどうかは不明ですが、私と妹は結構楽しめました。釣りって、じっくり時間をかけて糸をたらすのがいいんだろうな、と思いました。「結構、私たちだけで来ちゃったりしてね」と妹と言い合ったりして、かなり新鮮な体験でした。
 
収穫した鱒は、1尾ずつ妹と私のおかずになりました。父の晩御飯のおかずにするには12尾必要なので、釣りの名人にならないと難しいのです。12尾というのは、入居者9名、職員3名が一緒に晩御飯を食べるので、なのですが。「サザエさん」のおとうさんみたいに、買っちゃうというのもありですけどね。あの釣堀は釣らなくても売ってくれるのかしら?
 
たった1時間の釣りでしたが、楽しい行楽でした。大人になると初めてのことがどんどん減っていくけれど、まだやったことが無いことっていくらでもあるんだなと思います。機会があったら、体験してみると、そこから世界が少し広くなって、もっと楽しくなるかもしれません。