ama-ama Life

甘い生活を目指しています。

「没後150年 歌川国芳展」前半

本日から六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで始まった「没後150年 歌川国芳展」へ早速行ってきました。
 イメージ 1
16:00位に着いたのですが、その段階で結構混んでいました。しかも日本画などの展覧会にありがちな、一列になって前進するスタイルになっていて、とにかく皆壁に張り付いていて中々前進しないので、10のパーツに分かれての展示の1~2まではとにかく混んでいるのです。どうして日本の展覧会では、こうして一列になってしまうのでしょう。ま、そのうちだんだんすいていて見やすいコーナーになってくるんですけどね。
 
今回の展覧会では前期・後期でほとんどの絵を掛け替えるのだそうです。あぁ、前売りを2枚買うべきでした。そして、10のコーナーに分かれていて、国芳の多岐に渡る作風をカバーしています。
 
今まで歌川国芳についてはあまり見たことが無かったのですが、今回じっくり全て国芳という状態は、すごく楽しい体験でした。この人は面白い。
 
国芳が生きた時代は江戸時代末期で天保の改革美人画や役者絵が禁止されたりという時代でした。幕府の弾圧に対して、壁の落書き風の絵を描いたり、美人猫のいろっぽい姿をかいたり、物語の絵のようではあるものの顔がその時代の為政者だったりと、とにかく江戸っ子の気持ちをすきっとさせてくれるのです。
 
国芳が注目された武者絵の力強さ、躍動感、大胆な構図、デザインと初めて見るものなのですが、その世界にどっぷりと浸れます。いったいどういうお話につけた絵なのでしょう。
 
役者絵では、現在も活躍している歌舞伎役者の何代か前の役者の姿が描かれ、なんとなく現代の何代目かと似ているところがおかしい。例えば市川海老蔵はやはり目の大きな派手な面長の顔で、目をむいているのです。
そんなのを見るのも面白い。
 
美人画も、この人のは色っぽいというより健康的で、はつらつとしている女性像です。傘をさして雪だるまを作っていたり、しかも半天らしきものを着ているのも庶民的、草摘みをしていてスポッと抜けた草をつかんだまま尻餅をついていたり。団扇の絵になる美人画もどれも素敵で、そんな団扇があったらどれを買おうか迷いそうです。
 
子供の絵や西洋画の影響を受けて描いた風景画、風俗画、戯画と、山盛り一杯です。国芳は猫が好きで、猫の絵も沢山あるし、猫や金魚、狐や狸などが人間のように着物姿で色々している絵もあります。何人もの人の姿が集まって一人の人の顔になっている絵は有名ですよね。野菜が集まって人の顔になっているアルチンボルドというイタリア人の画家もいますが、こちらは人で顔を作ってみました、という感じ。
 
初期の頃の武者絵とはもう別人のような描きっぷりで、とにかく意表をついている作品のオンパレード。とにかく楽しい。江戸の町人の好みが伺えます。説話を描いたものでは、まるでブリューゲルかと思わせるような魚が擬人化されているような生き物や、ヘンな生き物が書き込まれていたり、もうとにかく何でもありなんです。
 
確固たるデッサン力、表現力があるからこそ、何でも描けた、ということでしょうか。興味深い浮世絵師です。今まであまりよく知らなかったのが残念ですが、この機会に一気に見てしまおうという魂胆です。
 
見終わって出る頃には、かなり混んできていて、早い時間に行かれることをお勧めいたします。割と若い人が多いのは場所柄でしょうか。江戸の粋もあり、力むような武者絵もあり、洒脱な戯画もあり・・・となんでもありの歌川国芳ワールドを堪能できます。
 
浮世絵って見たこと無いとか、江戸時代ってよく判らない、という人も、見に行くことをお勧めいたします。とにかくびっくり、そして面白い。古いものなのにとってもモダン。楽しみに行って下さい。