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すべてが奇抜で楽しい 「アルチンボルド展」

いつもPCの作業をしているスペースが月1回の休日の為、今日は美術館へ行く事にしました。

6月20日より上野の国立西洋美術館で開催中の「アルチンボルド展」に行きました。

アルチンボルドは一度は見てみたいと思っていたのですが、ウィーンの美術史美術館でなぜか丁度他館に貸し出し中になっていて見られなかった思い出があります。

かなり楽しみにして出かけました。

会場に入る前に映像で予習ができるコーナーがあるのですが、その隣で「アルチンボルド・メーカー」というイベントをやっていまして、長蛇の列ができていました。スクリーンの前に立つと、その人物の顔を認識して、アルチンボルド風に野菜が集まって顔を作ってくれます。その後、写真を撮れるのですが、正面だけでなく横顔も写せます。めがねをかけている人はめがねのままアルチンボルド風に仕上がっていました。私もやってみましたが、これはとても楽しく、気分を盛り上げてくれます。

ところで、映像コーナーで予習したところによると、アルチンボルドハプスブルク家3代に渡って使えた宮廷画家だったのです ! 絵を描いていただけでなく、当時の宮廷で行われていた様々なイベントのプロデューサー的な仕事もしていました。レオナルド・ダ・ヴィンチもミラノやフランスでそんな事をしていた時期がありますね。私はアルチンボルドは市井の画家で、あのような風変わりな作品を描いたのかと思っていたので、ちょっと驚きました。仕えていた王様の顔をあんな大胆な肖像画にしてしまうなんてすごすぎです。また、それを喜んで許していた王様も太っ腹。

さて、いよいよ会場に入りました。

構成は以下のとおりです。

Ⅰ.  アルチンボルドとミラノ
Ⅱ. ハプスブルク宮廷
Ⅲ. 自然描写
Ⅳ. 自然の奇跡
Ⅴ. 寄せ絵
Ⅵ. 職業絵とカリカチュアの誕生
Ⅶ. 上下絵から静物画へ

作品数88点、うちアルチンボルドの作品は23点 、さらに2点がもしかしたらアルチンボルトかも、4点がアルチンボルトに帰属、2点がアルチンボルトにもとづく作品、1点がアルチンボルドの追随者と、真筆以外の周辺作品もたくさん展示されています。

しかし、何と言っても圧巻なのは四季を描いた「春」「夏」「秋」「冬」と四大要素を描いた「大気」「火」「大地」「水」の8点で、四季と四大要素がそれぞれ対になって向き合うように描かれています。「春」と「大気」、「夏」と「火」、「秋」と「大地」、「冬」と「水」といった対です。ちなみに、季節のスタートは冬からだそうです。「季節」の方は、「冬」は枯れ木だったり、「春」は花、「夏」はさんらんぼやもも、ナス、ズッキーニ、アーティチョークといった季節の果物や野菜に麦の穂の襟飾り、「秋」は葡萄やかぼちゃ、大根、きのこなどがあしらわれ、胴体はワイン樽という風で、どちらかというと穏やかな肖像画となっているのです。一方、対になる「四大元素」は、「水」は水中生物たちで魚人に見えます。イヤリングとネックレスはさすがにパール。「大気」は鳥たちが大集合、「火」は火薬回りの物騒な物が集められ、「大地」は動物たちが大集合しています。「大気」と「火」は、アルチンボルドの真筆ではない可能性もあるようです。

どれを見ても楽しいです。対にして見ても、1枚でも、全部でも、とにかく楽しい。「四季」はどれもいいです。「春」が花づくしで一番可愛いかな。「夏」のアーティチョークの飾りもいいし、「秋」の頭にぶら下がった葡萄もいいですね。「四大元素」は鳥づくしの「大気」と動物大集合の「大地」が気になります。とにかくどれも楽しいです。

「職業絵」は、かなりすっきりとして、どちらかというと近代の作品のようにすら見えます。「上下絵」は上下ひっくり返しても別の絵として見られるというとんでもない発想で描かれた絵で、きちんと逆さにしても絵として成立してしまうのがすごいです。

「ルドルフ2世に献じられた馬上試合の装飾デザイン集」では、アルチンボルドの素描が10点並びまして、この人基本のデッサンまでカバーしています。

それ以外は、アルチンボルドの生きた時代とその周辺、奇抜な絵の周辺を展示しています。「寄せ絵」のコーナーで、ぜひ歌川国芳の作品も展示してもらいたかった。西のアルチンボルドに対抗できるのは、東の国芳くらいのものでしょう。

見所は「四季」と「四大元素」ですが、それだけでも十分なほど。後は見なくてもいいかもとすら思います。

丁度学生さんの夏休みに入って、小学生がたくさん来ていました。子供から大人まで楽しめる展覧会です。なかなかアルチンボルドの作品の展覧会は開催されないでしょうから、この機会にご覧になることをお勧めいたします。

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