ama-ama Life

甘い生活を目指しています。

大行列と人ごみの「北京故宮博物院200選」にて「清明上河図」を見る

本日、仕事を11:30で早引きして、行ってきました。東京国立博物館で開催中の「北京 故宮博物院 200選」です。
 イメージ 1
14日の土曜日に、駅のポスターで「清明上河図」を見て、この展覧会を知り、どうしても「清明上河図」が見たくて行くことにしました。日曜に行こうと思ったものの、混雑状況をサイトでチェックしたところ、建物に入るまでに60分、その5mの絵にたどり着く行列が210分ということで、これは平日にしようと、火曜日にしたのです。
 
ところが、すでに10:30には入場制限、待ち時間60分、「清明上河図」の列は240分と、おおいに出遅れ。それでもお休みを申請してしまったので、行ってみました。
 
チケットは上野駅のチケット売り場で購入していたので、博物館の門はするりと入り、会場の平成館の方へ。並んでいます。ずらっと建物前に蛇行して行列が・・・。60分待ちとのこと。しかし、ポカポカしていたのであまり苦痛ではありませんでした。並んで待つこと50分で、建物の中に入れました。その段階イメージ 2
で「清明上河図」の行列は一階の休憩スペース脇に長蛇の列が出来ていました。240分待ちとのこと。
 
係りの方の説明で、17:00で会場は閉館になるものの、17:00までに「清明上河図」の行列に並んだ人は、閉館後も見られるとかで、それ以外の所を先に回ってきてから並んでくださいとのことでした。
 
さて、それ以外のものを見てしまおうと第一会場に。まず、書のコーナーが入ってすぐにあります。しかし、第一会場も人がごった返していて、何を見ているのかよく判らない状態です。今回の展示会はかなり選りすぐりのものを持ってきているようなので、じっくり見られたらきっとどれも素晴らしいものばかりなのだと思うのですが、とにかく人が多くて見えないのです。それでも、書というのは面白いもので、書体によってはまるでデザインを見ているようです。書の心得のある方が見たら、きっとうなりそうな品揃えのようです。私の父は長い間習字を習っていて、きっと父が見たら喜びそうな書のコーナーでした。
 
さて、それ以外も陶工・琺瑯漆器・鉄器・絵画・装飾品とこれでもかこれでもかのてんこ盛り状態です。私が絵画で気に入ったのは、趙孟頫 ( ちょうもうふ ) の「水村図巻」。何も知らないで見に行ったのですが、この方はそれまでの中国絵画の見たままを描くという風習から心に映ったように描くという風に変えた方なんだとかで、この「水村図巻」もなにやらすがすがしい作品です。
 
今回とても気に入った展示物に磁器がありまして、どうも杯らしいのですが、一つは白地に青い花の模様。もう一つは鶏の絵が付いているもので、後で目録を見たらどちらも景徳鎮のもので15世紀のものでした。湯飲み茶碗くらいの大きさで、今でも通用するモダンなデザイン。あっ、これほしい !! と思わせるような品です。お土産コーナーにレプリカがあるかしら、とちょっと期待したのですが、ありませんでした。鶏の杯の方はもう一回り大きいとご飯茶碗にもいいようなサイズです。
 
皇帝や皇后が着用した式典用の衣装の展示もあり、細かい刺繍やビーズが縫い付けられていました。もう、すごく細かい手作業で作られていて、しかも美しいのです。衣装の前や後ろに龍の図が付いていて、しかも龍の正面が刺繍されています。龍は王家で使う紋のようなものらしいです。お衣装のコーナーも黒山の人だかりでした。
 
イメージ 3
 
図画でとても気に入ったのが、「康煕帝南巡図」(北京故宮)の二巻同時全巻展示。「南巡図」は清朝の第四代皇
康熙帝(こうきてい)が江南地方を視察した様子を描いた作品です。これは縦が約50cmくらいで長さが26mと33mとのことです。とにかく長い ! そしてとても綺麗な色が付いています。
 
十一巻の方は河口から川を遡っていくような図面で、最初は梅だか桜だかのきれいな花が咲いているところから、人でにぎわう街があったり、山の方へ入っていったり、人々の暮らしぶりが丁寧に書き込まれていて、見ていて本当に楽しい。川の姿も場所によって、浮いている船の姿も変わり、波も変わり、最後は景勝地を望める場所まで進んでいきます。
 
十二巻の方は紫禁城からスタートしていくつもの門をくぐって街に出て行きます。王様の一行が紫禁城を目指しているところなのか、紫禁城の広場いっぱい兵士や楽隊が並び、街中にも護衛の兵士の姿が見られます。街中では大通りの一本奥の通りに面している町屋では普通の人々の暮らしが描かれています。途中スケートをしている姿も見られて、中国でもこんな昔からスケートをしていたのには驚きです。最後は、色々な階層の人々が王様の御世をお祝いしている人文字を作っているのが可愛い。
 
この絵巻のケースに並んでいた時に、後ろに居た年配の女性二人組みが「『清明上河図』の恨みをここで晴らさんばかりにみんな張り付いているよね」と言っていました。
 
さて、第二会場では清朝宮廷文化の色々を見ていくのですが、最盛期の乾隆帝肖像画は興味深いです。いろいろな衣装で描かれていて、農民の格好で農作業していたり、学者風だったり、あげく西洋風というのまであって、見ていて楽しいのです。そのほか、仏教関係の像とか、宮廷で使われていたテーブルだとか、お部屋の再現とか、もう、こちらも盛り沢山。
 
あまりにも沢山で、最後のほうは中国酔いとでもいいましょうか、いささか具合が悪くなりました。のどがカラカラだし座る所も見つからないし。とにかく早く出て、何か飲みたい一心でした。
 
会場を出て、一服し、「清明上河図」の列に並びました。15:30には行列の最後尾は、二回になっていて、180分待ちとのこと。ならんで30分ほどたったところで、行列の最後尾はまたしても一階へ移動。待ち時間は240分。あら、増えてます。
 
結局、じっと待つこと1時間50分で「清明上河図」にたどり着きました。もう、期待が大きくて胸いっぱいです。その「清明上河図」ですが、24cm×5mの作品で、墨一色で描かれています。描きこまれている人々は約800名。「清明上河図」が5メートルでよかった。30メートルもあったら、丸一日でも待たないといけなさそうです。
 
スタートは田舎ののどかな風景からスタート。川を船が行きかい、色々な物資を町に運んできます。大きな橋の下をくぐるのに大騒ぎ、その橋の上はびっしりと店と人で埋まっています。色々な飲食店、ちょっと高級な酒楼、城門をくぐって城内に入ってきます。多くの一般の人々の日常生活が活き活きと描かれています。船で働く人々、商いをする人々、僧、占い師、などなど、色々な姿が見られます。一人一人の表情まで違って、街の喧騒が今にも聞こえてきそうです。単色で描かれているのに色が見えるよう。とにかく、可愛い。あぁ、このコピー、欲しい ! なんとも、市井の人々の生活している姿が、幸福に満ちた時代だったのでしょう、とにかく可愛いのです。
 
研究員の方のブログに出ていた、庶民の飯屋で顔一杯にどんぶりで飯を掻き込む男を捜したのですが、どうしても見つかりませんでした。1時間50分も並んだのに、見たのはたったの5分です。じっくりと見ていられないのです。係りの人の「詰めてお進みください」の声の元、立ち止まれないのです。どんどん前進してサッと見ただけ、という感があります。もっとじっくりと堪能できたらよかったのに。
 
私が会場から出た時には、ものすごい行列が出来ていて、この人たちが至福の5分を体験出来るのは、いったい何時になるのかしら、と思いました。お土産コーナーで絵葉書を購入して、平成館をあとにしたのが17:45。もう、ほぼ半日がかりでした。
 
でも、素晴らしく幸福な気分にしてくれる図画を見たという気持ちは変わりません。1月24日までしか「清明上河図」は見られませんので、機会と気力・体力がある方は見に行くことをお勧めいたします。今回、他の展示物についても見たような見なかったような感じなので、一度、北京にきちんと見に行きたいなと思いました。
 
 
展覧会ポスター。
  ずらっと人が並んだ平成館前。
  「康煕帝南巡図」から。