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「ファミリー・ツリー」家族の復活の物語

ジョージ・クルーニー主演、「サイドウェイ」のアレクサンダー・ペイン監督最新作の「ファミリー・ツリー」を見てきました。この映画、今年のアカデミー賞で作品賞・監督賞・主演男優賞・脚色賞・編集賞の5部門でノミネートされていましたね。ゴールデン・グローブ賞の作品賞ドラマ部門と主演男優賞ドラマ部門はめでたく受賞。
 
仕事が忙しくて家族を省みなかった弁護士のマット・キング。気づくと妻はボートの事故で昏睡状態。2人の娘は荒れるばかり。上の娘から妻は浮気をしており、マットとの離婚も考えていたと聞かされ、うろたえる。妻は昏睡状態になった際に、延命措置を拒否する旨を望んでいた為、器具をはずして自然死させることになる。期を同じくして、マットが管理を託されている先祖伝来の広大な土地を売却する話し合いが親戚同士でなされていた。二人の娘と娘の友達をつれて、妻の浮気相手を探しに出かける旅に出たマットと娘たちは、それまで離れ離れだった家族の絆を強めるのだった。
 
ストーリィーは上記のようなものなのですが、とにかく状況としてはやりきれないくらい悲惨な話です。妻が事故で既に亡くなっているならまだしも、とりあえず延命装置につながれてまだ生きています。昏睡状態です。本人の希望でその装置をはずすことになるのですが、そんな決断をしなくてはならない夫としてはなんとも辛い。しかも、その妻は浮気をしていて、離婚まで考えていたとは。
 
最初は反抗的だった二人の娘たちも、皮肉なことに妻の浮気相手を探す旅に出ることで、いつの間にか心を通わせられるように成ってきます。娘たちがああまで反抗的だったのは、寂しかったからでしょう。妻が浮気をしていたのも、また寂しさからなのかもしれません。では、ひとり悪者にされている父親マットは寂しくなかったのかしら ? 忙しくて気づかなかったのか、気づくのが怖くて忙しくしていたのか。妻が子どものことはやってくれているからという安心感から子どもたちに向き合わなかったのか、妻はきちんとやってくれるからという気持ちから妻に向き合わなかったのか ? 良くも悪くもこの家族にとってのキーパーソンだった妻は、ただ死を待っている。ここでやっと自分が家族と向き合わなくてはならなくなって、不器用に恐々と歩を進めていく父親を演じるジョージ・クルーニーが良い。
 
上の娘の友達のシドは最初はアホな今時の若者、という感じながら、結構彼はいい奴で、このぎくしゃくしている家族の円滑油となって、いつの間にかしっくりと混ざっているのがいい。彼は二人の娘たちだけではなく、マットの心の支えにも少しはなってくれているはずだから。
 
すごく悲惨な状況の家族のお話なのに、そのバックに流れるのは美しいハワイの風景と心癒すハワイアンのメロディー。バックが寒々とした風景の場所だったら、猛烈に辛い映画になっていたでしょうね。
 
ハワイのような楽園で生活していようとも、人間には辛い日常がてんこもり。でも、だから家族や友人といった気のおけない関係の人々の存在が大切なんだ、と言われているような映画でした。
 
マットが管理しているハワイの土地の話も、本当に美しい所で、マットはどんな決心をするのだろうとどきどきです。先祖が残してくれた土地、マットまで繋がってきた先祖たち、そしてマットから繋がっていく二人の娘たち。「ファミリー・ツリー」というタイトルは邦題ながら、よく言い表している上手い命名になっています。
 
ひとりでも、ふたりでも、家族とでも、恋人とでも、誰とでも一緒に見て欲しい家族の映画です。ハワイの美しい風景も堪能できますよ。イメージ 1