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「琳派・若冲と雅の世界」で和の心に浸る

横浜そごうで開催中の「琳派若冲と雅の世界」展へ、本日やっと行ってきました。
 
いや~、行って良かった。この展覧会は京都の細見美術館展なのですが、中々京都まで行くのも大変です。それが横浜まで来てくれたわけで、見ないわけにはいきません。
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構成は5つのパートから成っていて、以下の通りです。
 祈りの美
 王朝の雅と源氏絵
 華麗なる琳派
 若冲の魅惑
 かざりの意匠 
 
「よぉ~し、琳派若冲だ」という気持ちで見に行ったわけですが、かなり広く雅な世界がカバーされている構成です。
 
「祈りの美」では観音像などの絵画が並びます。平安中期から鎌倉時代の作品で、保存状態もよく中々雅で良い作品です。当たり前なのでしょうが、仏画というのでしょうか観音像とか仏様とかを描いたものは時代によって顔立ちがまったく違いますね。このコーナーでは平家納経の模写が見られます。平家は経文の表を金で飾った字や意匠を使い、返しの部分に絵を描いた豪華な造りのものを持っていたようで、それがいくつも展示されています。財力があったんですね。
 
「王朝の雅と源氏絵」のコーナーでは、「伊勢物語かるた」の展示があって、素敵なんです。かるたなので一枚一枚のサイズは小さいものの歌と絵が描かれていて、こんなかるたでかるた取りしたら楽しいだろうなと思います。もっともかるた取り自体、めったにすることはないのですが。「年中行事図巻」は江戸時代に描かれている巻物で宮中の年中行事が一月ずつ12ヶ月分描かれていて、これも可愛いのです。展示は2巻のみなのですが、12か月分の絵図が見られるようにコピーが展示されていて、じっくり全部見てしまいます。「きりぎりす絵巻」というのがあって、きりぎりすが擬人化されている物語のようです。顔はきりぎりすなのに身体が人間ってシュールですよ。しかも衣服を着ているのはまだいいのですが、荷物を担いでいる下っ端などは脚がむき出しだったりするので、ヘンな感じです。でも着衣は当時のものを忠実に描きだしているのだそうです。ちょっとマンガっぽいです。日本の絵巻って、マンガっぽい作品が結構ありますよね。現在の日本の輸出産業の雄がマンガやアニメであるというのは、どうもこの時代からその素養があったということではないか、と思います。
 
次はいよいよ琳派です。「華麗なる琳派」というタイトル通り、琳派です。本阿弥光悦俵屋宗達から始まって尾形光琳酒井抱一、鈴木其一とオールスター以外に、喜多川相説、深江芦舟、渡辺始興中村芳中、鈴木守一と作品が並びます。私は勉強不足で今回初めて「江戸琳派」なる言葉を知りました。なるほど琳派も成熟すれば画風も場所の好みで変わってくるということですね。また、琳派というからにはある程度の人数の絵師がいたわけでしょうが、今まで光悦・宗達光琳・抱一・其一しか知りませんでした。実際に見に行ってみると本当に勉強になります。
 
そして、江戸前期に始まった「琳派」を中期・後期と見ていくと、今まで私がイメージしていた「琳派」とは大分違うようで、それほどキンキラしていないのです。ちょっと驚きです。作者がわからないのですが、「四季草花草虫図屏風」という大作があって春夏の場面は金色、秋冬は銀色に色々な草花や虫が描かれているのですが、これなんて見ていて本当に楽しいのです。金色のバック、銀色のバックであっても嫌味がなく、これを置けるほど広い日本間であれば、しっくりして日本間の美しさをより引き立てることでしょう。
 
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今回、酒井抱一・鈴木其一の作品が多く、時代的には琳派が始まってからかなりたっている頃に活躍した二人
だと思うのですが、こんなに一度に沢山みる機会もないので、二人の違いをじっくりと見るのにも良いと思います。其一の「水辺家鴨図屏風」は可愛い一品です。屏風としてはあまり大きいサイズではなく、そこに描かれた鴨の姿がなんとも言えません。  
 
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私としては、宗達光琳の作品がもう少し充実していれば、もっと良かったなと思います。
 
そして、いよいよこのところ大人気の若冲のコーナー「若冲の魅惑」です。出展されている作品数は6点とそう多くはないのですが、屏風があるのでお部屋いっぱいです。今回のハイライトである「雪中雄鶏図」の美しいこと ! 雪の中を歩き回っている雄鶏のなんと堂々としたことか。その羽根の様子、とさかの様子、周りの雪に埋もれた風景と質感が描き分けられていて、見事です。その色の鮮やかなこと。鶏という題材がこんなにも日本画にマッチするとは。とても和の世界を表現していると思います。
 
若冲はカラーもいいけれど、墨絵も素晴らしくて、「鶏図押絵貼屏風」では鶏の色々な姿が描かれています。雄鶏だけでなく、雌鳥もひよこまで。雄鶏り尾羽の躍動感、美しさ、雌鳥の丸い体、ひよこの可愛さ、これが全て墨だけで描き出されています。その鶏の羽根の様子・色・状態までが判るようです。しかも鶏の正面の顔まで描かれているのが驚きです。そんなとこまで描くのか、という感じですが、ユーモラスな表情をしていて面白い。若冲は鶏が大好きだったそうですが、鶏を知り尽くしているという感じです。
 
同じお部屋にお弟子さんだったかの「遊鶏図押絵貼屏風」があるのですが、全然タッチが違って、硬さが見られます。中々、若冲のようには描けないのだな、という認識を強めます。
 
最後のコーナーは「かざりの意匠」ということで、引手とか長持ちとか立体の物の展示になっています。このコーナーだけでなく、立体の物は各コーナーでも展示されていて、中には螺鈿細工の箱とか、ピンニックにでも持っていったのか料理とお酒が持っていけるようなつくりになっている箱とか、色々面白いものが展示されていました。
 
そごう美術館は小さな美術館ですが、中々充実した展示内容となっていました。デパートの中ですが、少ないながらも返却式のコインロッカーもあります。出品目録も用意してくれています。小さいながらもミュージアム・ショップもあって、結構色々売っています。
 
そして、ここでも思ったのですが、一度「細見美術館」に行ってみないと ! やはり長い間日本の首都としての機能を担っていた京都には、色々と見所満載のお宝があるのでしょう。次回、京都に行く予定の時には、必ずスケジュールに入れることにします。
 
そして、伊藤若冲をもっと見たいですね。何だか興味をかきたてられます。
 
今日は発見の多い楽しい美術展見物でした。
 
 
伊藤若冲「雪中雄鶏図」。
  酒井抱一「槇に秋草図屏風」。
  鈴木其一「水辺家鴨図屏風」。