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乳白色の肌だけではない。子供だって大活躍 ! 「レオナール・フジタ展」

現在、渋谷のBUNKAMURAミュージアムで開催中の「レオナール・フジタ展」へ本日行ってきました。
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レオナール・フジタと言えばパリがエコール・ド・パリと呼ばれた頃、モンマルトルに集まっていたその後成功する多くの画家と中にあって、日本人画家として、その描く乳白色の肌をした裸婦画で名声を得た画家です。今まで、フジタの絵は何枚か見ているのですが、確かに白に特色があり、画風は優美。どこかイラストレーションの様な画風です。猫が好きだったとかで、可愛い猫の絵も沢山描いています。多分、女性ファンが多いのでは、と推測いたします。
 
さて、今回の展覧会は箱根にあるポーラ美術館からかなりお借りしたようです。展示会の構成は以下の通り。
 
Ⅰ. モンパルナスのフジタ 「素晴らしき乳白色」の誕生
Ⅱ. フジタの子どもたち アトリエのなかの物語
Ⅲ. 小さな職人たち フランスへの賛歌
特別出展 フジタと土門拳
       フジタと阿部徹雄
 
Ⅰ.モンパルナスのフジタでは、フジタの代名詞ともいえる乳白色に至るまでと乳白色の肌の裸婦が展示されています。パリに渡ったフジタが影響を受けた画家の作品や交流のあった画家の作品も一緒に展示してあるので、いかにしてフジタがフジタになって行ったかが判って興味深いです。当時のパリに集まっていた色々な画家の影響を受け、色々な画家と親しく交際し、そしてあの独特のスタイルを作り出していったわけなんですね。
 
ここでもアンリ・ルソーの作品が3枚展示されていて、「廃墟のある風景」「シャラントン・ル・ポン」は中々良いです。絵本などにしたいくらい可愛い。ルソー意外にもモディリアーニ、パスキン、キスリング、スーティンが展示されています。
 
フジタの最初の頃は、その後とはまったく違った作風で、ここからいかにして乳白色の肌の裸婦にたどりつくのかしら、と思うほど。その乳白色の肌をした裸婦ですが、「礼拝」と「タピスリーの裸婦」は、着衣の「礼拝」に対して同じモデルのヌードである「タピスリーの裸婦」はまるでゴヤの「着衣のマハ」と「裸のマハ」みたいです。それでもポーズが違っていたり、描かれている位置が違っていたりしているのが面白い点で、「タピスリーの裸婦」できモデルの足元に猫が寝ています。乳白色の肌をした裸婦の絵は更に続き、美しい肌を見せてくれます。フジタの描く裸婦にはいやらしさがなく美しい。いかんせん女性好みかと思います。紙に鉛筆で描かれた「横たわる女」、その油彩版「仰臥裸婦」はモデルが替わったとかで、確かに顔が違いますが優美でベッドの下にはらはらと落ちる金色の髪の風情も美しく、好きな作品です。
 
乳白色の裸婦画は美しいのですが、色彩が極端に抑えられているように感じました。シーツのしわの作る影など、細かいところに陰影を作ることで、乳白色が余計に際立っているようです。美しい絵ですが、私は目が悪いせいか近寄って見ないと色彩が淡すぎてよく見えないのです。油彩なのに、まるで水彩のような色彩です。
 
次の「フジタの子どもたち」のコーナーになると、描いているのが子供なので、肌の色は健在でも、衣服に色が入ってきまして、見ていて明るく楽しい作品が多いです。電線に止まるつばめとその手前に座る子どもたちが同じように集まっている様が可愛くおかしい「つばめと子供」、ポスターに使われている「誕生日」など、可愛い作品が並びます。狐を擬人化している「ラ・フォンテーヌ頌」は独特の世界観で、まるで「イソップ物語」の一場面のようです。まるでマンガのような「猫の床屋」もあります。
 
途中、特別展示の写真のコーナーがあり、土門拳、阿部徹雄の写真からフジタのキャラクターを伺おうと言うものらしいです。土門拳さんの写真では、日本に帰国していた時期のフジタを阿部徹雄さんの写真からは日本に再び帰らないと決めパリに戻ったフジタの姿がうかがえます。
 
最後のコーナー「小さな職人たち」は、15cm四方のファイバーボードに油彩で描かれた子供たちが色々な職業について懸命に働いている姿が描かれているものです。フジタの描く子供たちは決して可愛い顔をしているわけではありません。むしろヘン。でも、この働いている懸命な姿は作品によってはユーモラスであったり、逞しくもあったり、見ていて飽きません。それくらい楽しいシリーズになっています。
 
そして、「小さな職人たち」のシリーズ以外の作品として、ドアにはめ込む作品というのがあって、それも子供たちが色々なことをやっていて面白い作品です。このドアの作品や、「小さな職人」はフジタが自分の為に楽しんで描き、自宅を飾っていたものだそうです。
 
今回の展示会はレオナール・フジタの作品の、多分ほんの一部なのでしょう。ほとんどをポーラ美術館で借りているようです。逆に、フジタのコレクションを見るためにポーラ美術館に行ってみたくなりました。
 
フジタの作品はとても洗練されていて、都会的です。都会の美術館で展示会をするのにぴったりです。 それをずいぶん前の時代にやっていたフジタという日本の画家がいたというのは、日本人として嬉しいことです。フジタの作品を通じて、また楽しみが一つ増えました。
 
今回の展示会では、お土産コーナーも充実しています。ほとんどがポーラ美術館のもらしいのですが、なかなか良いです。ついついポストカードと「つばめと子供」のチケットホルダーを購入。私、チケットホルダー、いったい幾つもっているのかしら。でも可愛いのでつい。各商品のコーナーに手作りのポップが付いていて、フジタのマンガが商品説明しているのも、楽しくて良かったです。
 
暑い夏だった今年、都会の一隅で見るものに涼風を送ってくれるようなフジタの作品たちでした。10月14日まで開催していますので、渋谷に行く機会があったら、ぜひ覗いていただきたい展示会です。