ama-ama Life

甘い生活を目指しています。

美術史美術館 生首コレクション

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なぜ美女はかくも生首をもつのか
 
 
 
美術史美術館の各展示室を回っているうちに、おやっと気づいたことがありました。
なんと生首を持つ絵が多いことか !!
平たく言うと「ユディト」と「サロメ」を描いた作品が多く展示されているのです。気がついたところから、下手な写真をとってみました。
次は、美術史美術館の生首コレクションです。
 
 
●ホロフェルネスの首を持つユディト
 
 
                                ルーカス・クラナッハ           パオロ・ヴェネローゼ
                   
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                       Cario Saracemi                             Simon Voute (?)
 
 
クラナッハの「ユディト」はなんだか、「今首を落としました、はいどうぞ」と言っていそうです。冷たく妖しい美貌が光ります。首を切られたホロフェルネスは意識がはっきりしないうちに首を切られてしまった、というような表情です。取り澄ましているユディトとの対比が面白い。
ヴェロネーゼのはもっと動きがあって、両手で首を抱えていますね。こんなの抱えるの嫌なんだけど、というような表情。豊満な美女といところ。首となったホロフェルネスは眠っているような表情です。
下の二枚は勉強不足で知らない画家です。
Cario Saracemi の「ユディト」は、カラバッジョの影響を受けた画家が描いたような仕上がりです。このユディトはまだ若く、少女のようです。表情もおとなしげ、ホロフェルネスは絶叫したまま事切れたというような表情で、生々しさが伝わってきます。
そして、Simon Voute (?) の「ユディト」はしっかりもののちょっとお姉さんという感じの女性です。平たく言うと、ちょっとトウのたった女性とでも言いましょうか、男性的な顔立ちから芯の強い性格をうかがわせます。その女性の憤怒の表情と落ち着いた物腰、ホロフェルネスの表情は眠るように静かで、殺されたのも知らずに深く眠っているようです。
 
怖い絵ですが、色々な画家が描いている興味深い絵です。
私の中では、今までで最初に見たウフィッチィ美術館所蔵のボッティチェリの作品の鮮やかさが印象的です。(想像していたよりあまりに小さい絵なんですけれどね)
ウィーン市内のベルデベーレ美術館にはクリムトの「ユディト」があります。
 
 
●洗礼者ヨハネの首を持つサロメ
 
 
 
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       Andrea Solario                                  Bernatino Luini                            Cesare de Sesto
 
 
こちらは銀の盆に洗礼者ヨハネの首を乗せたサロメです。
三枚の作者は私はやはり勉強不足で知らないのですが、どのサロメもなにやら嬉しそうな表情をたたえています。首を切られたヨハネは無表情。Luini のヨハネはキリストを彷彿とさせる顔で、しかも安らかな死に顔です。
物語の特性から、もっと妖しくても良いのでは、という感想を抱きました。
 
サロメ」を最初に見たのはビアズリーの版画で、白黒なのにとても妖しく、むせぶようなエロティシズムにしたたる作品でした。やはり、「サロメ」は妖しさが信条か、と思います。
 
 
 
●おまけ  ゴリアテの首を持つダヴィ
 
 
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カラヴァッジョです。なんか活き活きした画面ですね。さすがバロックのさきがけとでも言いましょうか。
カラヴァッジョは何枚もダヴィデとゴリアテをテーマにした作品を描いていますね。
どうだっ、とばかりに首を突き出しています。
それにしても、ダヴィデの肌の質感、衣服の皺など、すごいですね。写真を見ているみたい。このお話の頃、ダヴィデはまだ少年だったのでしょうか ? ダ・ヴィンチがモデルになっている彫刻では少年だし、有名なミケランジェロの彫刻は青年ですね。
 
ゴリアテってこのテーマの時はたいてい頭を足で踏まれているんですよね。
悪役ですね、聖書では。