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「ゴッホ展」へ行ってきました

国立新美術館で開催中のゴッホ展へ行ってきました。イメージ 1
 
きっとすごく混むから気合を入れて10時に友人と集合。10時05分には展示会場に入ったのですが、すでに人でいっぱい。四角い絵が四角く見えない混雑状況。
幸い、私も一緒に行った友人も音声ガイドを利用しない上、どんどん見ていくタイプなので、割りと順調に前進できました。
 
「こうして私はゴッホになった」とサブ・タイトルがあるように、ゴッホが画家を目指して独学で描き始め、素描を徹底的に描き、ドラクロアやミレーの影響を受けて油彩を描いていた初期から、パリで印象派と出会ったり、浮世絵に影響されたりして、芸術家の共同生活を夢見てアルルに移住し、精神のバランスを崩して療養院へ入り、ついには37歳で自殺するまでの各時代の作品が、その時代に影響を受けた画家の作品なども交えて展示されています。
とにかく盛り沢山。そして、ゴッホの作品はちょこちょこどこかの美術展で見かけるものの、これは初めて見るというような作品も沢山ありました。
まず、素描の多さ。ゴッホは独学で画家になった人だそうですが、初期に徹底的に素描をやっていたようです。油彩も、その時代時代でタッチが変わり、ゴッホの画家としての成長がはっきりと見られるのも面白い。初期の農民を描いた暗い色調の作品と、パリ以降の明るい作品の画家が同一人物だとは思えないほど。
そして、浮世絵の影響。ゴッホのうねるように天を目指す木や渦巻く夜気、むせ返るような草の表現は浮世絵の影響なのでしょう。
 
初期の頃の静物画の大人しい感じと、後半の「アイリス」に見られるような花瓶に活けた花を描いた静物画では大違い。後半の作風はキャンバスに収まりきらないエネルギーを感じる。描かれているアイリスさえ暴れて花瓶からはみ出してしまうような。
 
今回、「アルルの寝室」を再現しての展示もありました。もちろん「アルルの寝室」も展示されています。3回も描かれているこの寝室、実物はかなり狭い部屋で、でも明るく居心地がよさそうです。
「アルルの寝室」のあった「黄色い家」の間取りがビデオで紹介されていたのですが、1階がアトリエとキッチン、2階がゴッホゴーギャンの寝室が隣り合って並んでいます。ゴッホが夢見た共同生活はたった2ヶ月で終わってしまったけれど、始める前はすごく楽しみにしていたのでしょうね。ワクワクして始めたアルルの共同生活、その無残な結果に入った療養所。療養所を出てから亡くなるまでの短いオーヴェール時代。
短い共同生活ではあったものの、ゴーギャンゴッホに影響を受けたのでは、と思われるゴーギャンの作品も展示されていて、色彩や描き方が他のゴーギャンより明るくのんびりしているように感じます。
 
なんだか逝き急いでいるような、短期間にエネルギーをそのままキャンバスにぶつけたようなゴッホの画風。「情熱の画家」と言われるのはそのせいでしょうか。私たちが普段イメージするゴッホの作風になってからは何年でもないわけだし。
 
ゴッホが描いているのは目の前の風景や静物だけではなく、自分の内面や言葉に出来ない空気や雰囲気といったものまで描き込んでいると思います。だから、見た人が忘れられない絵になるわけで、ゴッホのエネルギーをそっくり見ているのでしょう。
 
これほどまとまったゴッホ展が日本で開催されるのは20年ぶりだそうです。今年は印象派の展覧会が多かったけれど、ゴッホはポスト印象派。今年の美術展の締めくくりにぴったりの展覧会かもしれません。12月20日まで東京の国立新美術館で公開中。その後、九州と名古屋の美術館を巡回するようです。これだけ判りやすく年代を追って、いかにゴッホゴッホという画家になったかを見せてくれる機会もないので、関心のある方は見ておいたほうがよいですよ。お勧めです。
 
 
♪写真はゴッホ作「灰色のフェルト帽の自画像」