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三部作遂に読了 希代の政治家クロムウェルの物語

先日、やっと三部作、計5冊の小説が読み終わりました。読み始めた時は三部作とは知らず、読んでいる途中で三分目の翻訳が出版されました。しかも図書館で借りて読み始めたら、1部目の上官を読み終えたタイミングで新型コロナ禍であらゆる公共機関が閉鎖されてしまい、下巻を借りられずに数ヶ月過ごした作品です。

ヒラリー・マンテル著「ウルフ・ホール」「罪人を召し出せ」「鏡と光」という作品で、希代の政治家トマス・クロムウェルを描いた作品です。

トマス・クロムウェルヘンリー8世の右腕として辣腕を振るった人物で、イギリスの歴史はこの時代に大きく変わったのだそうです。ヘンリー8世の離婚・結婚問題に端を発し、また国庫を潤したカトリック教会からの離脱とイギリス国教会の設立、その流れの中で一掃された修道院行政改革など、当初の予定より大きな成果が後々に出てくるような働きをしています。

ヘンリー8世の信頼を得て、ヘンリー以上に国を動かしたクロムウェルは敵対したくない人物です。

とにかく面白い歴史絵巻を見せられた感じです。冷酷な政治家のイメージのクロムウェルですが、この小説に出てくる彼は、若く貧しかった頃に世話になった人々の事を忘れずにいつまでも恩義に感じていたり、出世の糸口となったウルジー枢機卿への親愛の情を持ち続けたり、身内の若者たちにとっては厳しくも優しいおじさんだったりと、一面的ではなく多様な表情を見せてくれます。自分の出方一つで処刑されてしまった人々を助けることは出来なかったのか、と後悔の念が湧くこともあり、人間クロムウェルとして魅力的です。

ヘンリー8世の治世を描く際に何度もの結婚や王妃の処刑、宗教的対立者の粛清など血生臭いエピソードが多く、国王の一番の側近であったクロムウェルはその渦中の第一人者であったろうと思われますが、彼を中心に据えた作品が割とないので、著者はこの作品を書いたのだとか。

今、三部作が出揃って読み頃なので、まだ読んでいない場合はお勧めします。とにかく面白いので。

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