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「ミレニアム」三部作、ついに読了

つい先ほど、「ミレニアム」三部作をついに読了。5月の頭に図書館で書架にお行儀良く並んでいる6冊の「ミレニアム」を発見。そういえば、しばらく前に映画のポスターを見たよなぁ、昨年だったか一昨年だったか・・・。ちょっと見たいなと思っていたのに見逃しちゃったのよね、あれの原作か、ということで読んでみることに。
 
一部の初めから、ぐいぐいと物語に引き込んでいく筆力は圧巻。内容もただのミステリではなくて、ジャーナリストのミカエルと天才ハッカーのリスベット・サランデルのコンビが事件を調査していくうちに、スウェーデンの性犯罪や女性蔑視や、様々な社会問題も浮き彫りにし、さらに富豪一族のドロドロの愛憎劇まで展開される。
 
そんな一部ののち、第二部・三部はリスベット・サランデルの過去が明かされ、物語は佳境に。警察小説の趣あり、スパイ小説の趣あり、法廷ものの側面も、ジャーナリズム的な側面も、もう、あれもこれも犯罪小説の要素は全て放り込みました的な読み応えで、面白く一気に読み進んでしまう。
 
物語の展開の面白さもさることながら、細かいデティールや人物の描写も手抜かりが無く、一人一人の登場人物が生きている。ちょうど、このシリーズ前にスパイ小説を続けて読んだので、思い切った行動を起こす老スパイに悲哀を感じたり。
 
そしてなんと言ってもヒロインのリスベット・サランデルのキャラクターが強烈。小柄でやせっぽっちで、天才ハッカーで、けんかが強くて、感情表現が下手で人付き合いが苦手。一人でも巨悪に立ち向かうその姿が雄雄しいと共に痛ましい。
 
この小説には強くたくましい女性が何人も登場してくる。警察官であったり、弁護士であったり、ジャーナリストであったり、学者であったり、職業は様々だが、皆それぞれの持ち場でたくましく戦っている。女性たちのたくましさは、なんだか北欧的とすら感じられる。
 
それにしても、スウェーデンってあまりにも知らない国だった。北欧の文化的な国、というイメージだけだった。こんなに女性に対する暴力が多い国であるとは思いもしなかった。各章の初めに、スウェーデンの女性に対する暴力について、書かれているが、驚くばかりだ。第二部・三部ではアマゾネスについて触れていて、この二部が戦う女性を描いていることを宣言している。
 
とにかく、面白い。あっという間に読めてしまう。ひと時、どっぷりと物語の世界に身を沈めよう。今年の五月は「ミレニアム」に明け暮れた月だったが、幸せな月だったと言える。出来のよい本に耽溺していられる時間は幸福そのもの。そういう意味では、四月も幸せだったけれど。「ミレニアム」お勧めです。