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ブリヂストン美術館60周年記念

5月29日 (火) に東京八重洲ブリヂストン美術館にて開催中の「あなたに見せたい絵があります」という展覧会に行ってきました。
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ブリジストン美術館は今年、開館60周年だそうです。
 
随分昔の話ですが、ブリジストン美術館には一度行ったことがあります。個人美術館としては、色々な作品を持っていて、一通り見られるというイメージでした。特に、明治以降の日本人画家の油彩のコレクションが充実しているように感じていました。
 
さて、ものすごく久々に訪れたブリヂストン美術館。現在の所蔵品の数は1800点だそうです。その中から今回の60周年記念展に合わせて、選りすぐったものが展示されているのでしょう。
 
チケット売り場、ミュージアム・ショップ、カフェの入った1階でチケットを買って、2階が展示室です。すごく久々に来て、ふと思ったのですが、天井が低いような・・・。ギュとした展示空間です。
 
今回の展示内容は11章に分けられていて、下記のとおりです。
 
1章  自画像
2章  肖像画
3章  ヌード
4章  モデル
5章  レジャー
6章  物語
7章  山
8章  川
9章  海
10章 静物
11章 現代美術
 
1章で、今回ここで初めて見たのはレンブラントの「帽子と襟巻きを着けた暗い顔のレンブラント」というエッチングです。あぁ、レンブラントも持っていたのか、という驚きがありました。ブリヂストン美術館は主に印象派などが多いと思っていたので、レンブラントには驚かされました。マネの全身像の自画像とセザンヌの「帽子をかぶった自画像」もあります。解説によるとマネは自画像を2枚しか描いていないそうで、そのうちの1枚がブリヂストン美術館にあるということで、自慢の1枚らしいです。そういわれれば、「マネの自画像って見たことがあったかなぁ?」と思いました。結構美術展は行っているのですが、記憶に無いような・・・。セザンヌはこの翌日に「セザンヌ展」に行ったのですが、実験的な自画像になっているというのは納得で、「セザンヌ展」で展示されている禿頭の自画像とはタッチが違い、色使いすら違うのです。「セザンヌ展」の方が1875年、ブリヂストンにあるほうが1890年~1894年の制作ということなので、なるほどこなれている感じがでています。
 
セザンヌは7章の「山」のコーナーに1904年~1906年制作の「サント・ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」が展示されていて、これはうっとりするくらい素晴らしい出来です。「セザンヌ展」で「最晩年」のコーナーに展示されていた「サント・ヴィクトワール山」が1902年の制作なので、それよりも後に描かれたもので、もう少し行ってしまうとキュビズムか、というタッチです。個人的にこの絵はぐっときました。
 
2章の肖像画のコーナーには、ドガルノワールピカソが展示。黒田清輝岸田劉生藤田嗣治関根正二といった日本の画家の作品も並んでいます。
 
3章のヌードでは、ドガの「浴後」というパステルの作品が展示されています。2年くらい前に横浜美術館で開催された「ドガ展」にも同じテーマのパステル画は何枚も展示されていましたが、ここまでサイズが大きいのは無かったように記憶しています。入浴した後に体をタオルで拭いている女性の後姿なのですが、こういったテーマで何枚も描いてしまうドガの視点って面白いですね。動きに徹底的に惹かれるタチなのでしょうね。
 
4章のモデルのコーナーには、藤島武二の「黒扇」と「チョチョラ」があります。「黒扇」は以前来たときにも気に入った作品で、モデルの女性の美しさが素敵です。その女性が大人のしっとりとした色気を放っているとしたら、「チョチョラ」は若々しい美しさのある作品で、はじけるような若さが放たれています。
 
6章の物語のコーナーでは、またしてもレンブラントがあってびっくり。でも、ここで一番気になったのがカイユボットの「ピアノを弾く若い男」という大きな絵で、ブリヂストン美術館で初展示だそうです。ピアノを弾く女性の絵というのは結構あるようなのですが、男性のものはあまり見かけない気がします。この絵の何が気になったかというと、ピアノのふたに写り込む部分の美しさなのです。そうそう、ピアノってああいう感じに反映してしまえのよねぇ、という感じがよおく出ていて、ほぉ~、と思ったわけです。同じ空間に展示されていた岡鹿之助の「セーヌ河畔」はアンリ・ルソーの影響が見て取れる可愛い作品で、シリーズ作品が色々な美術館にあるようです。
 
7章の「山」では、突然、雪舟の4枚の「四季山水図」にご対面。ここはじっくり見たいところです。沢山の油彩を見てきた目には、水墨画は新鮮で、かつしみじみとしてしまうというか、ちょっと気持ち的には一休みといったところです。こんなに素晴らしい水墨画を飾れる床の間があったらいいな、と妄想してしまいます。
 
8章の「川」ではモネの「睡蓮」が見られます。10章の「静物」では、またしてもセザンヌ。「鉢と牛乳入れ」があります。そして、このコーナーの一番のお気に入りは藤田嗣治の「猫のいる静物」で、テーブルの上に広げられた様々な食材をテーブルの影から狙っている猫が愛らしい。藤田の作品はどれも、イラストっぽいというか、随分と現代風に感じられて、近年あちこちで見る都度興味を惹かれています。この「猫のいる静物」も、静と動がうまくバランスがとれていて、見ていて楽しく、でも割と静の方が勝っている感じが藤田なのかもしれません。
 
それ以外に彫刻のコレクションと、なんと古代美術のコレクションも見られます。
 
小ぢんまりしている美術館の割には展示数が多いように感じます。見て回ってもたいして時間もかからず、さらっと回れるので、「今日はちょっとアート」という時に出かけてみるには良いかもしれません。今回の展示会については、「おぉっ!!」という点は正直言ってなかったのですが、再発見、はいくつかありました。そういう意味では行って良かった。
 
人は成長したり、年をとったり、その時に置かれている状況などによっても、好みや関心が変わったり揺らいだりするものです。以前、訪れた時と明らかに年を経て、再訪した今回では、私自身の見方も変わっており、長い間存在している美術館を訪れるのは面白い体験となりました。そのうちまたおじゃましようと思います。あっ、「カフェが素敵」と評判なので、そちらもいつか利用したいと思います。