ama-ama Life

甘い生活を目指しています。

BRUEGEL !

カフェ寄りの入り口から入ったため、押し寄せるルーベンスの荒波を潜り抜け、いくつもの部屋を通り抜け、やっとお目当てのブリューゲルの展示室へ到着。
 
 
イメージ 2BRUEGEL !  BRUEGEL !!
 
ブリューゲルの「四季シリーズ」は各月を描いた12枚があったのでは、とか、二月ごとの6枚だったのでは、と言われているが、現存するのは5枚。3枚がこの美術館にある。アントワープの裕福な商人の自宅にかける絵として注文されたらしい。また、当時のフランドル地方 (あるいは、ヨーロッパ全土 ?) は一年のスタートが一月ではなかったとかで、「Hunters in the Snow 」は最初の絵とも最後の絵とも言われるらしい。と言うのを何かで読んだので、ちょこつと受け売り。
 
1枚めは「四季シリーズ」の最初とも最後とも言われる
「Hunters in the Snow (January) 」(雪中の狩人)。
これは四季シリーズ最高傑作と言われている。
 
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私はこの絵は好きですね。なんかしみじみとしてきます。ちょっと日本の墨絵とか浮世絵に通ずるものがあるような懐かしさがあります。色のせい ?
手前に何匹もの犬を連れた猟師たち、その左手では宿屋なのか何かの店の前で日々の仕事をする人々。右斜め半分は、村の雪景色の風景。遠く山々まで真っ白い雪の中に埋もれいる。その手前では、自然に凍った天然のスケート・リンクでスケートをする人々。橋の手前には女性なのか少女なのかふたりの姿は、スケート・リンクへ急いでいるように見える。厳しい自然とその中での楽しみと、日々の労働とちょっとした季節の遊び。その両方が一枚に収まっている。
不思議と、この絵を見ているとウィーンのカフェの香り高いコーヒーより、ほうじ茶が飲みたくなるのは私だけでしょうか?
 
 
 
「四季シリーズ」の2枚目は「The Gloomy Day ( February ) 」 (暗い日)。
 
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ブリューゲルの暮らしていたフランドル地方では2月は雪と暴風雨の季節だそうで、右側では薪を集めている。また、2月はカーニバルの月でもあるとかで、薪集めの男たちのさらに右側では、ランプを持った子供が紙の王冠をかぶっていて、その手を引く母親らしき女性の衣装はお祭り用のドレスらしい。その隣の男はワッフルを食べていて、それは伝統的にお祭りに食べるらしい。また、左下では暴風雨に備えて荷車に覆いがかけられている。その脇で、宿屋らしき建物の前でバイオリンを弾く男の姿が見られる。お祭りに備えて練習中?
 
全体的に暗い色使い。ま、タイトルも「暗い日」ですし。
でも、良く見ていくと、これも面白い絵ですね。雪や暴雨風といった自然の猛威に備える人々の暮らしと、お祭りがあるわくわくした感じとが一つの画面で違和感なく構成。
一目見ただけでは、あぁ、なんか暗い絵だな、で終わってしまいそうですが、そこはブリューゲル。それだけではない、というところでしょう。細部までじっくりと楽しませてくれます。個人的には、ワッフルを食べている男とか、バイオリンの練習にいそしんでいる男とか、なんだかほほえましくて好きです。どんなに過酷な生活条件にあっても、なんとか楽しみを見出そうとする人間のたくましさ、とでも言いましょうか。今も昔も、洋の東西に限らず、民衆はたくましいのです。
 
 
 
ウィーンにある「四季シリーズ」3枚目は「The Return of the Herd (November) 」(牛群の帰り)。
 
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冬に備えて夏の牧草地から村へ牛を戻すところ。
川はまだ凍っていないし、雪もまだ降っていないが、木の葉はすっかり落ちて晩秋というか冬の入り口というか、天気が悪いというか、ちょっと物悲しい風景が、長く厳しい冬を予感させる。
画面手前右から左奥に牛の群れが牛追いの男たちに追われてのろのろと進んでいく。一番右手には馬に乗った男、その右に狩人らしい男。この男たちは牛追いの男たちと明らかに衣装が違うので、職業が違うのか、「雪中の狩人」と同じような服を着て、腰周りにかなり大きなナイフらしきものを見につけている。
その向こうの畑らしい所では、まだ多くの人が刈り取りだろうか、なにやら作業中。冬の到来に備えて準備しているようだ。
 
全体的に暗い色調の絵。でもディティールがさすがに面白くて、じっくり見てしまいます。牛の質感というか、手前のカメラ目線の牛が、なんともよい感じで、時空を超えて語りかけているようです。ちょっと触ってみたいかな。
やはり、右手の馬に乗った男と、狩人らしい男たちは、牛を追っている牛+牛追いの一団とは別のグループで、たまたま道を歩いていたら、牛の集団に手前をふさがれてしまった、という感じでしょうか。この男たちも、馬に乗った男と、狩人らしい男たちは別集団なのかも。馬が口をあけていて、ちょっとお疲れぎみに見えるのは、先を急いできたのかも。そして、猟師たちは村に戻るところなのかも。勝手な想像です。