ama-ama Life

甘い生活を目指しています。

本の虫

「ドグラ・マグラ」 脳髄地獄で身悶える楽しみ

えぇと、ついに読んでしまいました。「これを読む者は一度は精神に異常をきたすと伝えられる、一大奇書」と言われている夢野久作の小説「ドグラ・マグラ」です。 「読む者は一度は精神に異常をきたす」とは、なんともおどろおどろしいキャッチ・コピーだな、…

メルヴィル「白鯨」を読了

遂にメルヴィルの「白鯨」を読了。各社から翻訳が出ていますが、私が読んでいたのは、岩波文庫のもので、八木敏雄さんの訳です。 岩波文庫版の「白鯨」は、上・中・下の3冊本で、上・中巻は約460ページ、下巻は410ページあります。 通常、私は2、3冊同時並行…

生きる喜び バーネット著「秘密の花園」

この度、児童文学として有名なバーネットの「秘密の花園」を読む機会があった。正直言って、これほど面白く、これほど感動的な物語世界が展開されているとは思っておらず、驚いている。 今回私が読んだのは、大人が読むことを見据えて訳されたものであるらし…

現代の万能感 小説「紙の月」

テレビドラマで見て、良かったので原作を読みました。数年前、角田光代さんの作品は、まとめて数冊読んだことがあるものの、この作品が一番良かった。 あらすじ 結婚して数年しても子供が出来なかった梨花は、銀行にパートに出る。営業として高額預金者の自…

「人間の絆」 人生とは何か ? と向き合うフィリップの成長物語

世界の名作をおいおい読んでいこうと思っていて、今年は何だかモームづいております。そこで、著者初の長編小説で、自伝的要素が多い作品と言われる「人間の絆」を読みました。文庫本で3冊でした。 あらすじ フィリップは幼くして両親を失い、田舎で牧師をし…

村上春樹のエッセイを読む楽しみ

現在、たまたまエッセイ集を3冊同時進行で読んでいます。なぜ、同時進行 ? いや、本当にたまたま。図書館の棚で見つけてしまって、パラパラ中身を見ていたら、読みたくなってしまったので、というところです。 その内の1冊が、村上春樹 著 「おおきなかぶ、…

「空也上人がいた」 ただ黙って寄り添う事のありがたさ

山田太一の「空也上人がいた」を読みました。 あらすじ 私、中津草介27歳は特別擁護老人ホームのヘルパーだったが、車椅子に乗っていた老女を放り出してしまい、死なせてしまったことから辞職したばかり。市のケースワーカーである重光さん46歳が、個人宅で…

海堂 尊 著「トリセツ・カラダ カラダ地図を描こう」 働き者の自分の身体に気がつく

このところ、「チーム・バチスタの栄光」で有名な、作家であり現役医師の海堂 尊 さんの「トリセツ・カラダ カラダ地図を描こう」を読んでいました。 この本は、小学生か中学生か、子供に向けて書かれたものらしいのですが、すごく分かりやすく身体の機能や…

モーム作 「月と6ペンス 」 自分を生きる事の難しさ

先日読んだ「お菓子とビール」が気に入り、引き続きウィリアム・サマセット・モームの「月と6ペンス」を読みました。これは通常、画家ゴーギャンをモデルにしたと言われている小説です。 あらすじ 新進作家の「私」は、今では誰もが「天才」とあがめるストリ…

J・K・ローリング 著 「カジュアル・ベイカンシー」 問題山積みの小説

ここ一週間ほど「ハリー・ポッター」のJ・K・ローリングの初の大人向け小説という「カジュアル・ベイカンシー」を読んでいました。上下巻で約800ページ。 あらすじ イギリスの田舎の町パグフォードでバリー・フェアブラザーが40代の若さで死んだ。彼は町の地…

小川洋子 作 「ことり」 幸福を感じる態度について考えさせられました

小川洋子の新作「ことり」を読みました。 あらすじ 独自のぽーぽー語のみを話すお兄さんと唯一お兄さんの言っていることが分かる7つ年下の小父さん。お兄さんは鳥の鳴き声を理解し、鳥と話せる能力がある。早くに両親を失い、ゲストハウスの管理人として働き…

冲方 丁の「天地明察」を天文イヤーに読む

冲方 丁の「天地明察」を読みました。 あらすじを簡単に紹介すると、江戸時代、四代将軍の頃、それまで800年も使っていた暦を改暦しようという動きがあり、碁を打つ職を食んでいた安井算哲 ( 渋川春海 ) に白羽の矢が立てられる。最初は日本の緯度を測るため…

群 ようこ 「パンとスープとネコ日和」 最強の女に会う

この夏は、群 ようこさんの小説を立て続けに3冊読みました。群さんの小説は読み始めると後を引くと申しますか、もっと読みたいんですね。 まず、最初に読んだのは、妹が図書館から借りてきていたのを生家に帰った時、あまりに暇で手にとってみたら一気に読ん…

小川洋子の「とにかく散歩いたしましょう」に癒される

小川洋子さんは大好きな作家で、この7月に新刊のエッセイ集が出ていたので、早速読んでみました。 正直に言いますが、以前の彼女のエッセイ集はイマイチという感がありました。小説とエッセイ、両方を大抵の小説家は出しているものの、その両方が面白いとは…

ジョン・ル・カレ 「スマイリー三部作」

あまりにも面白かったので、ジョン・ル・カレの「スマイリー三部作」を紹介いたします。 ●ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ ( TINKER,TAILOR,SOLDIER,SPY ) (あらすじ) スマイリーはイギリス諜報部( サラット、通称「サーカス」 ) を引退したスパイ…

ウンベルト・エーコ作「フーコーの振り子」

昨年末から読み始めたら面白くて、しばらく他のことが手に付かないくらい楽しませてくれたウンベルト・エーコの「フーコーの振り子」を紹介します。 あらすじ 1970年代から80年代のミラノ。大学でテンプル騎士団の卒論を書いていたガゾボンは編集者のベルボ…

人質の朗読会  小川洋子・作

◆人質の朗読会 小川洋子 作 ●あらすじ とある国を旅行中のツアー参加者7名と添乗員1名、現地バス運転手の計9名が遺跡観光を終えて首都に向かう岐路、反政府ゲリラの襲撃を受け、運転手を除く8人がバスごと拉致された。事件は膠着状態のままだったが、人質に…

小説「トーマの心臓」を読んでみました

図書館で出会ってしまったので、読んでみました。 森 博嗣の「トーマの心臓」です。これは萩尾望都原作のマンガ「トーマの心臓」のノベライズです。 まず、私は森 博嗣という作家の作品を一冊も読んだことがありません。沢山作品が出ているのに、今まで読む…

「ミレニアム」三部作、ついに読了

つい先ほど、「ミレニアム」三部作をついに読了。5月の頭に図書館で書架にお行儀良く並んでいる6冊の「ミレニアム」を発見。そういえば、しばらく前に映画のポスターを見たよなぁ、昨年だったか一昨年だったか・・・。ちょっと見たいなと思っていたのに見逃…

田口ランディの「パピヨン」を読む

田口ランディの「パピヨン」を読んだ。 小説かと思って手に取ったのだが、エリザベス・キューブラー・ロスという死の研究で有名な精神科医を追うことで話は幕を開け、作者本人の父との死別という体験を通して、死について、生きるとは、家族とはを問うてくる…

「竜馬がゆく」読了

ついに司馬遼太郎作「竜馬がゆく」を読了 ! ハードカバーで5冊、文庫版で8冊分は流石に読み応えがありました。しかし、どんどん読めてしまって、そんなに何冊も読んだという感じでもないのです。 ストーリーがとにかく面白い。竜馬をはじめ、登場人物が魅力…